内容説明
さびしさを包みあう、女ふたり旅。
四十歳を目前にして離婚した「私」と、親代わりに育ててくれた祖父母を亡くしたばかりの、幼なじみで従妹のちどり。孤独を抱えた二人は、一緒にイギリスの西端の田舎町・ペンザンスに小旅行に出かける。淋しさを包みあう二人の間に、三日目の夜、ある「事件」が起きる……。日々を生きる喜びが心にしみわたる傑作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
140
傷心の女性2人がイギリスの田舎に旅行して滞在中での話!あいかわらずの、ばななさんワールドでして、ほんわかふんわりで優しく出てくる2人の登場人物の寂しさと再生をゆったりと表現してくれます(^^)今回、さっちゃんとちどりが全面に押し出て脇役がいない状態なので、ばななさんの作品では正直、物足りなさを感じました(^^;)えっ!というシーンも出てきて驚きましたが、ただ言えることは、この本を読んでギネスのビールを飲みたくなったのは確かです(^-^)BGMにはWHAM!がいいかな(^^;)2016/09/25
masa@レビューお休み中
101
旅は人を変えるのだろうか。いや、旅ではなく人は人でしか変わらない。もしくは自身で決めることで変わるのだと思う。これはふたりの女性の旅の物語である。従姉妹であるさっちゃんとちどりがイギリスの片田舎であるペンザンスで過ごした幾日かの旅模様と、それまでのふたりの軌跡が描かれている。さっちゃんは離婚したばかりで旅をして、ちどりは祖父母が亡くなった後スナックちどりを引き継ぐ前に旅をしていた。事情は異なるのに、何かが符号する。弱い波と強い波が合わさる。次に行くための休息。ゆっくりと旅をしながら進むのかもしれない…。2016/09/16
じょんじょん
72
ひさしぶりの吉本ばななさん(名前を漢字に戻したんですね)。やわらかで、ゆったりとした文章に心地よく身をまかせたい。自分の目標テーマ「丁寧に暮らす」という言葉が頭に浮かんできました。それぞれの悲しみを抱えた従妹同士のふたり旅。イギリスの田舎街でのゆるやかな日常のなかで、ほぐされていく心が気持ちいい。「とにかく不安定は人としていけないよね、やっぱ。」ちどりの言葉は耳が痛い。ともすれば、ざわめき、さざめきがちな自分の心、いつかゆるやかな旅の時間をもって、ゆったりと過ごしてみたい。そんな気持ちになった作品です。2018/02/09
はつばあば
59
いつまでも現状維持はない。いつかいなくなる祖父母や親・別れてしまう運命にあった人。癒すには心地よい女二人旅に地味な風景と食べ物。女だからこそ明日に向かって強く生きていかねばならないのだもの2016/07/03
けぴ
53
感想が書きにくい話でした。従姉妹同士でイギリスの田舎町を旅行するさっちゃんとちどり。特に大きな事件が起きるわけでもなく、ゆったりとした時間が流れる。旅が終わりに近づいて寂しさを感じた、ちどりにせがまれキスをする2人。少しあやしい雰囲気を感じますが、その後の進展は無く終わる。ちどりはおばあちゃんがやっていたスナックみどりを継ぐこととなる。日常を淡々と描く不思議な味わいでした。2020/03/12