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内容説明
「ピケティが示した不平等の歴史的な展開を、さらに歴史的に俯瞰する。格差論の未来のために!」
――『21世紀の資本』共訳者・山形浩生氏 推薦
フランスの経済学者トマ・ピケティによる大著『21世紀の資本』が公刊されたのは2013年。その後、ノーベル経済学受賞者のスティグリッツやクルーグマンらの推薦もあって英訳から火がつき、またたく間に世界的にベストセラーになりました。
どうして大ブームになったのでしょうか? 実は下地ができていました。高度成長を終えた先進国のなかで、ピケティしかり、日本の「格差社会」「大衆的貧困」ブームしかり、明らかに「不平等ルネサンス」とでもいうべき学問的潮流が起きていたのでした。
それでは一体いつ、経済学者たちの「不平等との闘い」は始まったのでしょうか? 本書では、ピケティ的な意味での「市場経済の中での不平等(所得や資産の格差)」に焦点を絞り、その歴史を紐解きます。
18世紀にフランス革命の思想的後ろ盾となった、ジャン=ジャック・ルソーと、そして“神の見えざる手”で知られるアダム・スミスから議論を始め、マルクス経済学、近代経済学、不平等論議の新しいステージ「不平等ルネサンス」、そして現代のピケティにいたるまでの学問的軌跡を追っていきます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
47
マクロ経済学の基礎をきちっと理解できている方向けの本。不勉強な私は・・・。2016/08/08
masabi
16
経済学の基礎がわかるとより理解できると思うのだが、基礎部分からやり直して再読したい。ピケティの議論を経済学説史の中に位置付けようとするもの。ルソーの「不平等は悪か?」という問いに対してある意味で論点をずらした返答をしたスミスのように、時代を超えて平等を達成して何を実現したいのか(例えば弱者の救済)と再度の論点ずらしが反復する様を見る。2016/08/19
しょうじ@創作「熾火」執筆中。
14
「平等」か「成長」かをめぐっての議論を、ルソーとスミスの過去にまで遡っての解明を試みたもの。すなわち、「不平等の起源は、社会を営んでいるそのことに内在する」とする、ルソー的スタンスと、「(市場に委ねれば)全体としての生産が向上し、(いわゆる)貧困層の生活水準が引き上げられる」というスミス的スタンスとの対比から、マルクス、新古典派経済学を経て、近年の「不平等ルネサンス」とピケティの議論までを一瞥したもの。労作と思うのだが、いかんせん私の読解力がついていかなかった。捲土重来を期したい。2016/07/24
Ex libris 毒餃子
6
不平等をテーマに据えて経済学を論じた本。2019/04/30
izw
5
9/7に開催されたワークショップ「人工知能と経済の未来」を考える、で登壇していた経済学者のことが知りたくなり、気楽に読めそうな著作を買ってきた。まず稲葉氏の本書を読み出したが、なかなか終わらず、結局2か月間断続的に読むことになった。ピケティが『21世紀の資本』で論じてる不平等を理解するために、不平等についての論説の歴史を解説している。簡明に、わかり易く展開されていると思うが、門外漢としてはなかなかさらっとは読めず、結局よくわからないまま終わってしまった。 2016/12/11