内容説明
変幻きわまりない雲の形態はどう解釈できるのか。まさに雲をつかむようなとまどいの末、ゲーテはハワードの雲の分類に手がかりを見つける。バロメータと温度計の時代に、経験の収集と分析を超え、詩人科学者は全体把握と理念的な綜合をめざした。上昇を促す熱と下降を促す重力に、空の現象の多くが関係づけられないか。ゲーテは言う「自然の書物がどれほど多くを私に教えてくれるか…、私の静かな歓喜はとても言いあらわされない」。歓喜は紀行文に詩に照り映えた。本邦初訳論文を多数収録。編者博捜で初めて成ったゲーテの人文学的自然科学論集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tsubomi
8
2018.04.14-04.19:荒天の週末に飛行機に乗る機会があって、そのために選んだ一冊ではなかったのに、天候を気にしながらの旅にあって結果的に最高の友となりました。仕事や旅に出かける前に天気予報を確認するのは現代人にとって当たり前ですが、この本が書かれた当時には、どうにかして天候や気象に関する法則を発見して自然災害を予知できないかと試行錯誤していたのがよく伝わる内容。ゲーテは文豪のイメージが大きいですが、実際はテクノクラートとして働いてもいて、理系作家であることを実感する作品でした。2018/04/19
壱萬参仟縁
2
雲の形といえば、J.ラスキン、島崎藤村の問題関心にも符合する。帯のように上がる層雲。塊となる積雲。四散する絹雲。下降する雨雲(051頁)。イメージが湧くような的確さ。簡単な記号を使ってどんな天気なのかを表現する工夫も今日的な天気記号のような創意工夫と思える(071頁~)。現代のブログ風な天気叙述もある、気象学的日誌(080頁~)。ゲーテは高度が同じなら気圧も同じと思っていたという(120-1頁)。可変的な天気を観察、記録していくことは科学の基本にも思える。どんな原理が見出せるか、感性を鋭くできるためだ。2013/04/30
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