内容説明
人気絶頂の自民党・小泉首相が封印した消費税増税は、なぜ10年の歳月を経て民主党・野田政権で法案成立にいたったか。リーマン・ショックや東日本大震災で火が消えかけながらも、執念深く実現を目指した政治家たちの姿。容赦ない権力闘争、虚々実々の駆け引き、そして死屍累々たる舞台裏の光景……歴史的改革の現場を綿密な取材によって描いた緊迫のインサイド・ドキュメント。 ※新潮文庫に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
18
消費税増税を巡る動きについてわかりやすく書いているため少し理解できたように感じました。しかし根本的にわからないのは国の財政を中長期的にどのように考え、それに基づきどのように資源配分をして国力を回復するのかという点です。政治家や官僚の方はそのような方針について明確に打ち出し実行していただきたいと読みながら思いました。2021/12/13
フライパン
5
権力闘争の過程がよく分かる本。文章が上手い。2016/02/28
うたまる
4
小泉政権以降の消費増税を巡るドキュメント。言いたいことは山ほどあるが二点に絞る。一つは、そもそも論はどこへいったのかという疑問。自営業者の徴税漏れによる不公平を正すための間接税導入だったはず。ならば直間比率の変更を進めないと単に間接増税だけになり、結果、不公平プラス負担増という最悪の税制になり下がる。もう一点は、時間のかけ過ぎ。消費税10%への合意が概ね取れた後、10年もかかるとは遅すぎる。なぜこんなにかかったのかを政局で読み解くのが本書の要旨ながら、政治の時間の無駄遣いは日本を致死させてしまうレベルだ。2020/03/23
Mark X Japan
4
消費税をめぐって、このようなドラマが織りなされていたのですね。もっと、財務省の影響が強いと思っていたのですが、そのあたりは深読みし過ぎなのでしょうか。☆:4.02016/01/10
tacacuro
3
消費税率引上げを巡る小泉内閣以降の政治ドキュメント。経済再生と財政健全化の二兎を追う「経済・財政一体改革」は、10年以上にもわたる政策論争、与野党の攻防、権力闘争の積み重ねの上にある、ということが確認できた。こうした経緯や経済理論、制度の内容や経済情勢など、しっかりとした政策論議をするためには頭に入れておかなければならないことが多すぎる。2017/07/07