新潮文庫<br> 幸福について―人生論―

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新潮文庫
幸福について―人生論―

  • ISBN:9784102033012

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内容説明

幸福は人間の一大迷妄である。蜃気楼である。がそうは悟れない。この悟れない人間を悟れないままに、幸福の夢を追わせつつ救済しよう。人生はこの意味では喜劇であり戯曲である。従ってこれを導く人生論も、諷刺的、ユーモア的にならざるをえない。本書は厭世哲学者といわれる著者が、豊富な引用文と平明な表現で人生の意義を説き幸福を教える名随筆「処世術箴言」の全訳である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mukimi

136
15年前に購入した本を半年かけて読了。「幸せとは」との問いに対す答えが「生存していないよりは好ましい状態」という、人生は苦なくしては語り得ないとの前提から始まる、諦念をベースにした人生論。「人間の生活は万華鏡と同じで回すと違うものが見えるが実は眼前にあるのは同じものだ」「財産や名誉より健全な個性を享受すべき(ひとはパリを楽しむのでなく「パリにいる自分」を楽しむ)との考えは、自分の焦燥感を消火してこんがらがった自尊心をほぐしてくれた。自分の違和感が18世紀の哲学者によって言語化されていたことに感動した。2022/11/27

扉のこちら側

116
2016年404冊め。「幸せなんてつまりは人間の勘違いだけど、まあ幸福について語ってみますよ」的な、「盛大な出落ちか!」と思わず突っ込みたくなる序章。からの「種類の如何を問わず自己の特技を何者にも妨げられずに発揮できることこそ窮極の幸福である」と。昨今流行りの「ミニマリスト」的生き方に憧れる方は大変共感する一冊だろうが、この『幸福について』は『意思と表象としての世界』の補遺であるので、まずそちらを読まなければいけないということはよくわかった。2016/06/14

ehirano1

111
初読では理解しきれないことも相まってなかなか共感できませんでしたが、約8年ぶりの再読において、本書が「逆境における幸福論」であるということに気付いたこともあって理解が進むと同時に共感することが多かったという印象でした。具体的には、孟子の「足るを知る」に近い思想に共感しました。2023/12/29

ナマアタタカイカタタタキキ

86
著者が著者なので想定内ではあったものの、表紙の晴天っぷりに反して頗るペシミスティックな見解。幸福を追求することは決して幸福ではない、快楽を追うのではなく、苦痛なきを追うべきだ、ということを徹底的に説かれる。そして、今現在の私固有のあり方というものについて考えさせられるとともに、それを完全に掌握することは恐らく現時点では不可能であることを思わされる。まあ、所詮は私もまだ道半ばに過ぎないんだよな、まだまだ人生に“きちんと”幻滅もしていなければ、それ自体が目的ではないにせよ、息継ぎするように享楽に耽ることも→2021/08/20

びす男

69
初読だと思ったら、3年前に読んでいたと知って愕然。「自分の中で咀嚼できたから、忘れたんだろう」とプラスに受け止めよう……■前回は「朗らかさ」の部分が印象に残ったみたい。ただ今回は「孤独でいることを恐れるな」というメッセージが心にきた。入社4年目。先が見えてきて、「1人でやってみたい」と強烈に思うからだろう■「本は鏡」。たくさんの活字を追いながら、拾っているのは結局、自分が求めている助言だけなのではないかと感じたりする。次にこの本を開くとき、どこがひっかかるのかな。そもそも2回読んだこと、覚えられてるかな。2019/07/26

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