ちくま新書<br> 昭和戦前期の政党政治 ──二大政党制はなぜ挫折したのか

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ちくま新書
昭和戦前期の政党政治 ──二大政党制はなぜ挫折したのか

  • 著者名:筒井清忠【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2016/05発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480066879

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内容説明

男子普通選挙とともに訪れた本格的政党政治の時代は、わずか8年で終焉を迎えた。待望久しかった政党政治が瞬く間に信頼を失い、逆にそれほど信望の厚くなかった軍部が急に支持されるようになったのはなぜか。宮中やメディアといった議会外の存在、大衆社会下におけるシンボルとしての天皇、二大政党による行き過ぎた地方支配など、従来の政治史研究では見過ごされてきた歴史社会学的要因を追究する。現代日本の劇場型政治と二大政党制混迷の原型を、昭和戦前期に探る試み。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

55
この題名の内容を扱った本は珍しいなと思い、キープしておいて、ようやく読めた。ほぼ知らないことばかりで、とても勉強になった。マスコミの力が政治に影響を与える構造は、この時代(1926~)からあったのね。2016/09/23

禿童子

35
筒井さんが現職の自民党と民主党の政治家の研究会で行った講演を元に本書を起こしたことが興味深い。2012年という二大政党制に現実味があった時期に、戦前の二大政党制の蹉跌の原因を経時的に解き明かす試み。普通選挙で大衆民主主義が到来すると、政治家も大衆化し、選挙資金も巨額化する。警察・消防・やくざ・医者も政党によって色分けされる大分県のケースは極端にしても、汚職、利益誘導、スキャンダル合戦、劇場型政治など現代に通じる弊害が出尽くしていた。二大政党による政権交代が可能な政治を国民が本当に望んでいるのか疑問が残る。2020/03/12

パトラッシュ

18
この著者は常に歴史の常識をひっくり返す。本書でも戦前の政党政治が8年余で滅びた原因、即ち未熟な政党による政治腐敗の凄まじさと政争に明け暮れる愚かさを描き出す。戦前の国政は永田町と霞が関だけでなく宮中に軍や貴族院など強い勢力が割拠し明確な中心を造らなかった帝国憲法の欠陥が露呈していたが、政党政治は警察やヤクザから市民までも系列化して自分たちの当選を安定させようとした。こんな政治に8年も付き合わされたら国民が忍耐の限界を超えるのも無理はない。戦前の政党政治は滅びるべくして滅んだのだ。小さな新書だが大きな一冊。2019/12/02

coolflat

17
加藤高明内閣から始まる憲政の常道がいかにして崩壊したのか。現在にも通ずる。日本は満州事変以後、破滅の道を辿る。そこには軍部の台頭(=政党政治の崩壊)があった。なぜ軍部の台頭が起こったのか(を許したのか)。それは民衆が政党政治を育てなかったという事が第一義的にある。内輪の政争に明け暮れる既成政党に嫌気をさしていた。メディアも政党政治を批判するばかりで、それを積極的に育成しようとはしなかった。そうした政党政治に対する忌避感が、第三極(軍部を筆頭とする軍部+官僚+警察=新体制)を誕生させる土壌になったのである。2017/04/05

masabi

11
【概要】昭和戦前期の二大政党制の成立と挫折を政争と議会外勢力の動向を中心に解説する。【感想】1924年から1932年までと政党政治は短命で終わる。普通選挙の実現により選挙資金の増大と大衆デモクラシー・メディアによる世論を招き、前者は多発する疑獄事件を、後者は劇場型政治を生み出した。結果、政党政治に対する信頼を失墜させ、腐敗した政党に代わり軍部が台頭する土台を提供することになった。戦前の教訓として、政党政治家、メディア、有権者いずれにも二大政党制を育てる意識に欠けていた。2023/01/20

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