内容説明
いま、日本では「国民世論」を背景に死刑判決が急増している。「遺族の感情」と「冤罪の可能性」とがせめぎあうなか、かたくなに死刑制度を維持しようとする法務当局の姿勢は何を意味するのか。個々の犯罪事例と収監から絞首刑までの具体的なプロセスにメスを入れ、議論のベースを提供する。
目次
プロローグ──宅間処刑の衝撃
第一章 ニッポンの死刑
第二章 「被告」が「死刑囚」になるとき
第三章 獄中の日々
第四章 死刑執行
エピローグ──執行された遺体の行方
あとがき
死刑確定数と執行率一覧
死刑執行のサインと法務大臣
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
22
おそらく近年増えたのであろう。死刑判決を言い渡した後、被告に上告することとを勧める裁判官。上級審にいけばいくほど自らが下した判決は覆らないということを一番よく知っているはずなのに。裁判官も自身を無謬とは思っておらず、そんな自分が生殺与奪の権を握っていることが恐ろしいのだろう。サインをしたがらない法務大臣も然り。そんな私情が入り込まざるを得ない死刑制度について、更なる議論が必要なことは当然。2020/04/29
小太郎
11
タイトルとは少し違う気がした (; ꒪ㅿ꒪) 2018/06/14
ず〜みん
5
今から10年近く前の本だけど、なかなかにヘビーなドキュメンタリー。2018/08/17
naginuko
4
冤罪の可能性は別として、無惨に人の命を奪っておいて、自らは人権を求めるなんて虫が良すぎやしないかと思ってしまうのだが…。人が人の命を奪う権利は確かにないが、殺人犯を野に放たれても困る。さりとて税金で養うのもどうか…。償いは被害者遺族に決めさせるのがいいのではないかと思う。死をもって償わせるか、殺さず刑務所で償わせるか。難しい問題だが、遺族を置き去りにする司法制度には納得いかないのは確かだ。2016/02/16
トマシーナ
1
死刑執行とはどういうことなのかを考えて、これに関する本を読むのは本書を含めて既に数冊。本書は刑執行後のことにまで言及されていて、どうしても「死刑」という世にも残酷な刑罰の是非を考えさせられてしまう。2025/02/11