内容説明
アヤカシ、物の怪は実在するか、否か。その答えはいまだ証明されていないが、幽霊、心霊の類よりさらに疑われてきたことは否定しようのない事実である。また、「妖怪は怪談の墓場」とも言われる。怪異が妖怪の仕業だというレッテルが貼られた時点でその怪談は死ぬ…つまり、怪談の命である恐怖が消えてしまうということらしい。だが、本当にそうだろうか? 平安の世からその存在が囁かれている物の怪、アヤカシの類は時代の中で繰り返し誰かに目撃され、同じ恐怖を体験されてきたからこそ、現代まで語り継がれているのではあるまいか。単なる見間違えや勘違いではあり得ない強烈な存在感がそこにある……だからこそ胸底から恐怖が沸き起こるのだ。かつてマイクロマガジン社から出版された幻の傑作「妖弄記」に、今回書き下ろしで新たな目撃譚・体験談を収録して復刻。知る人ぞ知るアヤカシの名著がいま甦る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
157
もののけ・妖怪をテーマに編まれた実話怪談集で敢えて妖怪の名前は書かれていませんが、「ああ、これは一反木綿やぬりかべだな」と気づく話がありますね。こういう妖怪たちは時代が進んでも永遠に生き残って欲しいなと思いますよね。尚、途中で3編の自衛隊の怪異譚があり著者は何時か一冊書きたいと述べられていますが、あまりにも文章が堅苦し過ぎるので私は読みたくないというのが本音ですね。『護りて果たして』三毛猫で多分メスの猫が家に来て飼ってはいないが家族に気に入られ愛された。下の幼い娘が熱を出して寝込んだ夜に珍しく猫が現れる。2020/11/21
ゆみきーにゃ
26
《購入》妖怪についての実話怪談。自衛隊話も入っててラッキー。小人にはまだ出逢えたことないけど絶対いると思う!2013/12/31
HANA
23
実話怪談というか妖怪との遭遇譚。狸が腹鼓を打ったり、山には鬼や天狗が出たり、怖いというより懐かしい、遠い日に読んだものを思い出ささせられるような内容。病を治してくれた猫や屋根をよじ登る狸等牧歌的な内容のものが多いように感じられた。最近の先鋭化する実話怪談、たまにはこうした優しい内容の本もいいのではないかと思った。2012/06/08
かおりんご
21
奇妙な話を集めた小説。実話なのかな?妖怪というより、アヤカシや物の怪と言った方がしっくりくる。読み友さんの紹介で知った本でしたが、自衛隊とアヤカシという組み合わせがなんだか不思議でおもしろかった。幽霊談はよく聞くけれど(硫黄島から石を持って帰っちゃだめとか、警衛の時に見かけたとか)、ここで紹介されている話は目新しかった。いろんな駐屯地や基地を回って、自衛隊の妖怪・幽霊談だけで一冊にまとめてほしいくらい(笑)2014/01/15
パブロ
10
いいッスね〜、妖怪譚。妖怪だけに特化した実話怪談集ってほとんどないから、話自体の良い悪いは別にして目立っているんじゃないかな〜。ってな感じで読み進めていると、「あれ、何か既視感が…これってデジャヴュ!?」なんて思ったら、マイクロマガジン社から出てた『妖弄記』のリメイクだったのね〜。ほとんど忘れていたからいいんだけど、やっぱりこの著者のほのぼのっぷりは残虐怪談よりも、懐かしさ漂うこの路線がしっくりくるな〜とつくづく思いましたとさ。2012/06/11