内容説明
工学とは「ものつくりの科学」である。動力を効率よく伝達する歯車の歯型はどのような曲線なのか。蒸気機関が出せる動力と効率は何によって決まってしまうのか。オイラーは伸開線によるインボリュート歯車を、カルノーは熱の理論を樹立した。「ものつくり」は科学に問いを課し、また科学から方策を授かってきた。本書は、その工学の歴史を、おもに機械工学と力学の話題を中心に展開した。技術開発や研究が最先端に達し、もはや参考となる文献・資料がなくなったとき、その解決のヒントは歴史のなかにある。幕末維新や近代日本に関する研究成果も意欲的に取り入れた力作。資料・図版を多数収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
オザマチ
17
学問としての工学の意義や、工学とそれを学んだ者が社会に果たす役割を見直す上で役に立つ。工学が専門ごとに細分化され、学校の授業やキャリア形成の道具になってしまった今の時代こそ、歴史を覗いて役割を再考してみるべきでは?2017/03/03
オザマチ
12
再読。近代における生産性の向上や事故防止のために、工学を学んだ技術者は材料や熱・流体の基礎から積み上げて学び応用することを続けてきた。ひるがえって、現代では基礎から積み上げる理由が教えられなくなって、そこが学生のモチベーション低下の要因の一つになっていると思う。ましてや、新しい分野であるAIにおいては、歴史を省みることが全くされておらずいかがなものか。2025/06/22
オザマチ
11
再読。今は工学も細分化が進み、相互の理解ができる人も少なくなったように思う。本書のように特定の分野に偏らない歴史を学ぶことで、自分の専門分野の立ち位置や役割を見直すのも良いと思った。2022/12/10
ほぼひつじ
11
本田宗一郎は「歴史を勉強せよ」と若い技術者に言っていたらしい。航空工学の父と言われるカルマンは「科学者はあるがままの世界を研究し、技術者は見たこともない世界を創造する」と言った。新しい歴史を創りたい人は、今までの変遷を知ろう。工学を勉強していたら、避けては通れない名前がどんどん出てきます。背景を知ることで、ただ覚えていただけの法則や方程式に、血が通ったような印象を持ちました。良い意味で教科書的で、工学系を志す人にオススメです。2015/10/15
オザマチ
9
再読。現在では、機械・電気・化学・情報といった専門分野ごとに分かれて学ぶのが当たり前になっている。しかし、本書を読んで、それらの専門分化が軍事的・歴史的事情の中で効率を重視する形で進んだ側面があると知り、印象に残った。もしそうした背景のもとで現在の学問体系が形作られたのだとすれば、現代の課題に適した学び方は別の形であり得るのではないか、と考えさせられた。2026/03/26
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