内容説明
怖い話が好きだ。だが、どれほど怖くとも、それが「フィクション」では興をそがれる。自分が生きるこの世界の、同じ現実の中で誰かが体験した話であるからこそ意味がある…そうお考えの実話怪談ファンに捧ぐ、本当にあった怖い話。実話怪談大会【超-1】で才能を見出された新進気鋭の3人が、それぞれのルートで入手したとっておきの怪奇譚を書き下ろした本書は、正直これが事実だとは思いたくない不気味さだ。体験者がひとりで抱え込むには重すぎる恐怖の記憶を、丁寧な取材で聞き書きし、再現してみせた話の数々はそれも生々しく、当事者の驚きや慄き、時に切なさや痛みまでもを伝えてくる。信じるにたる逸話ぞろいである。実録でありながら、読み物としても味わい深いこれらは、必ずや恐怖に飢えた実話怪談ファンの胃袋を満たしてくれることだろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
272
3人の実話怪談作家アンソロジー全50話の34話を一人で書かれた鳥飼さんが圧倒的な実力者で紅一点のつきしろさんが11話、怪聞亭さんが5話の内訳でして、お二方もいつか単著を著せるように頑張って欲しいですね。『道中狸』怪聞亭:テレビ制作会社の番組プロデューサーの白石さんは中野の編集プロダクションで作業に付き合い夜の十時過ぎにスタジオを出て新車で環八に出ると事故による渋滞だったので「しょうがねえな」世田谷区は裏道を知ってなければなと横道に入って暫くすると「ガタン!」と車が弾んだ。降車してチェックしたが無事だった。2021/07/08
ラルル
16
ラストのお話はちょっと創作の匂いがしますが、面白かったからいいかな2018/03/31
海星梨
6
KU。さらっと読めちゃった。「好きっ!」って作家さんはいなかったけど、恋愛脳なので木に絡み付いて死ぬ蛇の話に、木と蛇の異類婚姻譚を感じ取っちゃいました。生娘ならぬ雌蛇を木に捧げなきゃいけなくなった蛇たち……。水を司るものとして蛇が見られてきたことを考えると、水が必要な木が蛇たちを取り込むなぞのフェロモンでも発してるのか!? ヒトには分からない何かそーぜつな異類婚姻譚がそこにあるはずである……。2023/01/19
みーすけ
4
(まだまだ続くホラー祭り中)最後の「平田のアパート」のようにそれでも「まだ連れていかれるわけにはいかない」と真っ向から立ち向かう強さがあれば大丈夫なのでしょうね。2013/09/04
きら
3
超-1出身の3人の若手作家による実録怪談集。 全体的に、特に怖くもなければ印象にも残らないような話が続いていて、これはハズレだったかなと思いながら読み進めていたら、最後の方に結構佳作良作が固まっていたので読後感はそんなに悪くなかった。中でもトリを飾ったちょっといい話系の『平田のアパート』が味わい深い。あとは、得体の知れないものに理不尽に襲われる恐怖を描いた『吐き気』、職員の誰もが非日常を誰もが当たり前のものとして受け入れてしまっている図書館が舞台の『特別利用者』あたりが好き。2011/03/28