荀いく - 曹操の覇業を支えた天才軍師

著者名：風野真知雄

PHP研究所（2016/04発売）

• ISBN：9784569667959

内容説明

中国は三国時代。中原の覇者を目指す曹操のもとに「王佐の才」を謳われる男がいた。その名も荀いく――。「王佐」とは王を佐（たす）けるの意味。荀いくは政戦両略にわたって曹操を支え、文字通りその覇業を援けた。曹操の留守を狙って攻め寄せた呂布を見事撃退し、君主の帰還まで根拠地を守り抜く、落ちぶれていた後漢の献帝を迎え入れるよう進言し、曹操の大義名分をつくる、兵力に勝る袁紹と互角に渡り合えるよう様々な策略をめぐらし、「官渡の戦い」を勝利に導くなど、まさに魏の建国は荀いくなくしてありえなかった。さらに本書では、荀いくを従来のイメージである「漢王朝の再興を目指す忠臣」として捉えるのではなく、様々な場面で躊躇する曹操を叱咤激励しつつ、その知略でもってなんとか魏王に仕立て上げようとする野心家として描いている。ラストは『正史三国志』『三国志演義』もびっくりの、驚くべき結末があなたを待っている！

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[糜竺(びじく)]

曹操の軍師、荀彧の目線で三国志の世界をサラッと読めた。

2024/10/12

[スー]

5荀彧は曹操の序盤から中盤までを支え最後は漢をめぐって対立して自害した人で劉邦を支えた張良のイメージで政治の部分を補佐して戦略や戦術は郭嘉・程昱が担当していたと思っていましたけど、今回は戦の世を終わらせるという目的を達成する為に暗殺も辞さない人で陳平・范増の様でした。荀彧が劉備を善人ぶった危険人物と敵視する一方曹操は劉備を利用できる面白い奴と評価しているのが意外でした。

2020/01/08

[鯖]

心の平穏のため、久しぶりに読み返す。妻くのの風野さんの本だったんだなあということに初めて気づいた。後ろの広告を見ていて、このシリーズの「馬超」も風野さんだということに気づいて、そっちも驚く。戦争よりは政争と内面メイン。空の壺の解釈がやっぱり頑張っていて、みんなどうにかしてこの有名なエピを壊さないまま、曹操と荀彧を昇華してあげたくなるんだろうなあと思った。三國無双8もそのあたりホント頼むわ…。

2014/06/18

[ＭＩＫＥＴＯＭ]

荀彧と言えば、漢王朝を守護する立場から乱世に挑むのだが、やがて曹操が帝位簒奪を目論んでいることを知り、両者の間に溝が生じる。荀彧は病気と称し出仕を止めるが、やがて曹操から見舞いの品が届く。開けてみるとそれは空箱だった。お前はもう用済みだと曹操から突きつけられたことを知り、自害する。←これが一般に知られている経緯なのだが、作者はこれに疑義を唱え、作者なりの歴史観で書いている。ま、そういう解釈もありかなと。いずれにせよ曹操の覇業を結果的に支えたんだから漢王室に害をなしたことは間違いない。もっとも、→

2025/07/14

[リトル・リン]

演義では無く正史根拠の小説でしたが、それでも赤壁は曹軍の大敗にしないと出版させて貰えないんですかねぇ？悲しい限りです。とは言え、よく調べてあります。空のお弁当箱の解釈では、壺に変わってましたが、かなり頑張ってオリジナリティを出していますし、良かったのではないでしょうか。今回はあまり触れていませんが、士太夫階層の深い部分に注目した作品も読んでみたいです。

2015/11/03