新潮文庫<br> クヌルプ

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新潮文庫
クヌルプ

  • ISBN:9784102001059

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内容説明

年上の娘への初恋が裏切られた時から、クヌルプの漂泊の人生が始まる。旅職人となった彼は、まともな親方にはならなかったが、自然と人生の美しさを見いだす生活の芸術家となり、行く先々で人々の息苦しい生活に一脈の明るさとくつろぎをもたらす。最後に雪の中で倒れた彼に神さまはクヌルプは彼らしく生きたと語りかける……。永遠に流浪する芸術家の魂を描いた作品である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

155
「あそこ」を「あすこ」と表すほどの古めかしい翻訳で、正直ちょっと読みにくかったのだけど、ヘッセらしさがすごく漂う内容だったと思う。何にもとらわれずに自由気ままに旅をするクヌルプという男の、心の奥に孤独がちらついて、なんとなく1羽はぐれた渡り鳥を思った。引用すると文字数足りなくなるので省略するけれど、自然と人生の中の美しさや魂についてのセリフの数々がものすごく共感できたし、いつまでも印象に残っていて、それだけでこの本を読んで良かったと感じることができた。2014/08/07

aika

68
流浪の芸術家クヌルプが過ごすドイツの田舎町の情景が本当に美しく、心のふるさとがそこにはありました。ページをめくると、ドイツに行ったこともないのに、なぜだか故郷に帰ったときのように懐かしく、ほっとした気持ちになりました。ものすごくセンシティブで、心の傷が癒えず、終始孤独だけれど、ありのままの自分を受入れる、クヌルプの達観した寛容さに、ああ、私もこのままでいいんだ、と肯定してくれるような気持ちになります。短いお話なのに、長編のように彩り豊かに紡がれていて、また手にとりたく思いました。2017/08/28

香取奈保佐

61
漂白を続けるクヌルプのような生き方はできないし、したくない。しかし、少し憧れるし、訪ねられた友人たちはちょっぴり幸せになる。居所が定まらない生き方は、なんとなく新聞記者そっくりだなと思った。人の生涯に、ちょっとだけ顔を出す職業である。せめてその「ちょっと」が、幸せで愉快なものとして記憶されたら嬉しいな、とクヌルプの佇まいを見て思った。2016/02/27

康功

56
何か現在の自分が読むべくして読まされた感がある。人が生きていく上で味わう孤独、人生の意味を、ヘッセの人生になぞらえて小説にしている。クヌルプの人生の決断は、純粋でぎこちない。世の中を上手く立ち回る計算高い人からみたら、不器用極まりないタイプ。しかし、神様は死に行くクヌルプに、クヌルプらしい素晴らしい人生だったよと、 告げる。それぞれの人生や生き方は、成功も失敗もなく、その人らしい物であれば、それが正解なんだとヘッセが神様の言葉で語ってくれた哲学を含んだ良書であった。自分らしい人生を送りたいと思った。2017/05/10

seacalf

56
ヘッセの入門編としておすすめの作品。いかにもヘッセらしく情景や生き生きとした人物達、輝く子供時代の幸福感への賛美などが、大変美しく描かれている。短編でもあるのですんなり読める。解説等で語られている芸術家としてのクヌルプについてはあまり興味がないが、彼のような浮世離れした一面を持つ人は周りにもいるのではないだろうか?そして、自分自身の中にも。久しぶりに読んだヘッセは、とてもしっくりくる。非常に読みやすく、すーっと世界に入り込める心地好さがある。かつて夢中になった他の作品を再読するのが改めて楽しみになった。2017/03/14

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