内容説明
1920年代、パリ。未来の文豪はささやかなアパートメントとカフェを往き来し、執筆に励んでいた。創作の苦楽、副業との訣別、“ロスト・ジェネレーション”と呼ばれる友人たちとの交遊と軋轢、そして愛する妻の失態によって被った打撃。30年余りを経て回想する青春の日々は、痛ましくも麗しい――。死後に発表され、世界中で論議の渦を巻き起こした事実上の遺作、満を持して新訳で復活。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
116
ヘミングウェイは20代の頃にパリに住んでいたのだそうだ。1920年代、著名な文化人が集う街で彼は刺激を受け、後に話題となる長編などを書き上げた。彼にとってパリは特別だった。その回顧録となる本作には過去の美化なのか嘘や誤魔化しがあるようでその辺はご愛敬か。日常の何気ない話は面白味がない。でも時折、彼の創作の信条が垣間見えることも。本読みの論が興味深かった。フィッツジェラルドなど作家らとのやり取りは明け透けで少し驚く。そこから見えてくるのは味のある人となり。それを頭に置いて彼の作品をまた読んでみようと思った。2021/09/29
どんぐり
107
ヘミングウェイ亡き後に発表された作品。1920年代のパリで親交のあった友人たちのことを回想したエッセイ。なかでも、「スコット・フィッツジェラルド」「鷹は与えない」「サイズの問題」のフィッツジェラルドと妻ゼルダについて記した3篇が面白い。ゼルダがスコットの仕事に嫉妬していたこと、彼の自信を喪失させるためにどんな女も幸せにできないと男性のサイズを問題にしたこと、精神を病んでいるゼルダのことに気づくまで、彼が傑作に値する作品を何一つ書けなかったことなどの秘話が出てくる。→2024/05/05
マエダ
99
ヘミングウェイが22歳の頃当時の妻と共にパリへ渡った時の思い出を綴ったものが本書である。当時のパリは音楽、美術、文学を代表する人たちが同じ時代を生き切磋琢磨し競いあった。ピカソやコクトー、フィッツジェラルドやミロと名だたる顔ぶれである。特にフィッツジェラルドとの経緯は面白い。2017/08/28
巨峰
93
凄く良かった。ヘミングウェイが晩年に、若き日作家修業時代の最初の妻とのパリでの生活を思い出しながら書いています。それにしても、パリって凄かったんだなと。まだ売れていないヘミングウェイの友人たちとの交遊で出てくる名前の凄いこと。後の世に名を遺したもの、その頃は売れていたけど今は読まれていないもの、結局は世に出ずに終わったもの。それは結果ではあるけど、この本の中では、彼らが今生きているかのように生き生きと描かれている。そして文学に対して真摯なヘミングウェイがとてもいいです。大文豪に親近感を持ちましたー2016/03/22
はたっぴ
85
ヘミングウェイが晩年に遺した回想録。新妻と共に過ごしたパリでの創作の日々が、名だたる芸術家との交流を挟みながら鮮やかに描かれている。新婚生活の甘く幸せな時間。文学に対する意識の高さや、文章を書くことへの並々ならぬ決意が伝わってくる修業のような日々。20代の若く多感な頃に親交のあった芸術家達の中でも、フィッツジェラルドとの交遊は、パリの街並みに相応しく華やかで賑やかに描かれており、読むほどに引き込まれてしまう。長らく積読しているが、彼が関わったとされる『日はまた昇る』を読んでみたくなった。2018/07/23
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