内容説明
西洋哲学を通じて時間に関する思索は二つの異なった道をたどってきた。一つはアリストテレスに典型であるように、時間を外的物体の運動との連関で思索する道であり、もう一つはアウグスチヌスに典型であるように、時間を記憶や予期や知覚などの「こころ」のあり方との連関で思索する道である。カントの時間論にはこの二つの道が豊かに流れ込んでいる。客観的時間が「心」のあり方を決める時間であること、それをカントはめざした。
目次
時間論の書としての『純粋理性批判』──学術文庫版への「まえがき」に代えて
序 章 問題の提起
第一章 時間を構成する作用としての〈われ思う〉
第二章 時間の経験的実在性 (I)──時間構成と物体構成
第三章 時間の経験的実在性 (II)──時間構成と自我構成
第四章 時間の超越論的観念性
あとがき
注
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バカボンのパパ
13
図書館本。こういう本は買い求めて、常に読書しないといけないと感じました。抽象的だが、読書が捗りました。2017/01/31
μέλισσα
2
『時間と死』を読み、この人の時間論がいかにしてカントから成立したのかと非常に気になり読んだ。 おそらくカントをドイツ観念論とは区別して知っている人でも、ここに出てくるカント像は驚くものでは無いだろうか(専門家では無いため、妥当性については付言しないが) これは私の素朴な感想であるが、このカント論を読んだ後ではドゥルーズというのは実はカントの正統な後継者なのではないかと思えてくる。 ともあれ、一読してすべて理解できたとは到底自認できないので、何度か読み返すことになるだろう。2025/04/05
naka
1
外的対象に関する客観的時間構成の優先度を高く評価する解釈がなるほどと思わされました。2025/03/09
静かな生活
0
Review Scores 75/1002024/02/04
パン
0
濃かった2022/08/18