内容説明
甲斐京四郎は星城大学入学後、文学青年・玉岡と共に文芸クラブ「星城文学」を立ち上げる。二人の目的は、以前大学内で発行された同人誌「あすなろの詩」を復刊すること。しかし、凄惨な事件に巻き込まれることに…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
111
同人誌『あすなろの詩』復活を目指す学生たちの青春群像劇。文学談義、恋、部員同士の鍔迫り合いを含む文芸青春グラフィティ。しかし後半では物語は典型的な“嵐の山荘物”ミステリになる。今、例えばコロナウイルスの影響で様々な制約下の中でストレスを感じたからこそ犯人の動機は案外腑に落ちた。もしかしたらこれは作者自身の青春グラフィティなのか。明日は作家になろうと創作に励んでいた作者の思い出が込められているのではないだろうか。そしてこの結末は失われた過去への、もう戻れぬあの頃の思い出への作者なりの決着なのだろうか。2020/09/27
LUNE MER
19
中盤まで青春真っ只中という感じの鯨統一郎らしからぬ展開で、むしろこの後で事件起こるのやだなぁと思ってきたところで嵐の山荘ルートに突入。正直なところ、「これ絶対に作中作でしょ?あの辺とか絶対にその伏線だったし。騙されんもんね〜♫」と思っていたが、そのままいつもの鯨統一郎(ちょっと巻き入りめ)で終了。最終ページでのどんでん返しを最後まで期待していたが、そのまま終わった…。「北海道にある」「元の持ち主から親が買い取った」「傾いた別荘」の辺りではかなりニヤニヤした。(最近読んでないなぁ島田荘司…)2022/01/20
coco夏ko10角
18
平和の章では『努力しないで作家になる方法』『作家で十年いきのびる方法』でもあったのがいくつかちらと。殺戮の章、つまらなかったわけじゃないけど、一冊丸々前半の感じで読んでみたかった気も。2017/10/04
きっちゃん
17
解決編はやっつけ仕事の感強し。2014/12/09
伊織
6
あらすじから自分の思い込みが先行してしまって、しかもそれが外れてしまって更に気になる点が残ってしまったのでミステリーとしては空振りでした。でも青春ものとして見ると面白かった。作中に文芸部だけあって実際の小説がたくさん紹介されていて興味深かった。2009/12/12