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内容説明
アベンジャー=復讐者。アベンジャーは、人生の最後にすべてを投げ出して、怒りをぶつけ、他人を破壊することで、自己の尊厳を回復しようとする。
2008年6月に東京・秋葉原で発生した17人が殺傷された未曾有の惨劇は、「アベンジャー(復讐者)型犯罪」という従来の犯罪とは異なる特性を持つものであることを日本で初めて論じたのが本書である。
精神科医であり、犯罪病理学の専門家でもある著者が、FBIアカデミーの報告書など多くの研究を踏まえて、発達心理学、サイバー心理学、経済学、社会学など多面的な観点から問題の本質に迫る。わが子がアベンジャーにならないためにはどうすればいいのか。そして崩壊に向かう日本社会を再生するために進むべき道とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
PukaPuka
4
頭の中を自己愛憤怒で満たしたり、激しい言葉にして表すのと、無差別殺人を実行することには、相当な開きがある。ネットという媒体による被害感情の増幅や、様々な悪条件が積み重なって最後に暴発してしまうのはわかる。しかし同じような境遇や病理を持った人間のうち、一部の人がなぜ大きな一線を超えてしまうのか、そこはやはり謎である。また、犯人たちも恐いが、被害に遭った人たちを助けもせず、秋葉原の惨状を他人事として喜々として録画撮影していた野次馬たちは、一層気味が悪い。2017/09/28
ヤーヤートベ
2
高校、大学くらいまでは、むしろ優秀だった子どもが犯した犯罪が取り上げられている。子育ての参考になる部分も多いが、自分が間違いなく接していけるかと言うと自信はない。『弱っているときには、共感的に接し、その気持ちを汲むように努め、順調なときには、距離を開けていく。』と大きな破綻はないそうです。2022/02/27
806_shusaku
2
2008年の秋葉原無差別殺人事件を取り上げて日本社会の変質を論じている。資本主義が日本社会に浸透した結果、己の利益の為に他人を犠牲にすることを厭わない弱肉強食の社会となった。自らの成功のみを追及する自己愛は他人との共感的な価値観を破壊する。人々は自分の利益の事ばかりを考え、他人への配慮や思いやりを忘れた殺伐とした社会となった。こうした社会で抑圧された人々が精神的に追い詰められてアベンジャー型犯罪を起こしている。深刻な社会問題であり、今後はもう少し中和的で人々の心に余裕がある社会を創る意識が必要と考える。2017/02/05
たこやき
2
色々と言っているが、週刊誌報道を元に、都合の良い事実を述べてあーだこーだ言っている時点で精神分析でも何でもなく、ただの読書感想文。「ヴァーチャル化でアベンジャー型犯罪が増えた」などと言っているが、そもそもの殺人事件は減少しているし(09年は07年の戦後最少記録をさらに更新)、軽犯罪も減少傾向にある。平成19年版の犯罪白書を見ているのに、平成13年までの統計しか示さないとか、明らかに「騙し」の意図が見え、全く信頼出来ない内容
JVSTINIANVS
1
この著作の一番のテーマは「自己愛を克服するにはどうすればいいのだろうか?」という事なのだろうかと私は思った。この著作で紹介されている、いわゆる「アベンジャー」として紹介されている犯罪者達は、いずれも「自己愛」によって精神を蝕まれていった人達のように感じた。そしてこの犯罪者達だけではなく、「自己愛」という病理はこの日本社会の隅々まで広がっていて、多くの人達、ごく普通に暮らしている人達さえもこの病理に相当苦しんでいると思う。もちろん私にも思い当たる節があるので、他人事とは思えなかった。2017/09/14
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