内容説明
13世紀初頭にチンギス・カンが興した「大モンゴル国」は、ユーラシア全域をゆるやかに統合して、東西の大交流をもたらした。この大帝国は、従来は「元朝」と呼ばれ、中国史やアジア史の枠でのみ語られがちだったが、近年は、この「モンゴル時代」を、世界史の重大な画期とみなす考え方が、「日本発信の世界史像」として、内外に広まりつつある。壮大な歴史観と筆力で多くのファンを持つ著者が、新たな世界史の地平を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
97
我々が知る世界史は中国を中心とした東洋史とヨーロッパから見た西洋史と世界史であり、その周辺については漠然としている。当然、歴史資料の多寡はあるとは思うが、中国王朝の周辺に存在した勢力の終焉はよくわからない。本書では13、4世紀にユーラシア大陸の東西に広大な版図を有した”モンゴル帝国”について、帝国を構成する四つの「ウルス」、特に宗主国たる大元ウルスを除く、チャガタイ、ジョチ、フレグにの各ウルスついて成り立ちとその後を語る。後世の西洋の史家の解釈には人種的偏見が入り、”タタールの軛”などに異議を唱えている。2020/05/03
優希
86
モンゴル帝国の一時代を世界史的視点で述べています。中国史やアジア史の中で語られがちなモンゴル時代を世界史の重大な要素として見ているのがよくわかりました。モンゴル時代の前後で歴史が全く異なっているのも興味深いところです。チンギス・カンが起こした大帝国は、クビライの時代にはユーラシア全域を統合していたというのも歴史の大きな力だということがわかりました。世界史として人類の画期となったモンゴル時代を詳しく知ることができ、不戦の中で国をまとめていったという部分にも魅力を感じます。2016/05/05
ホークス
47
元本は2008年刊。モンゴル帝国の研究は、中国の開放政策とソ連崩壊によって進みはじめた。中東〜中央アジアを含む広大な遊牧世界、さらにはユーラシアに君臨し、初の世界史も遺す。エリアの壁が崩れて周辺にも不可逆の変化を引き起こした。各国が傭兵の制御に手を焼く中、チンギスは多民族軍の組織化に成功。自ら組織と作戦と報酬を一元的に統制し、調略や情報にも長けていた。やはり常人ではない。歴史学における欧米の自己愛と人種的蔑みに怒りつつ、感情の虜になるまいとする著者の戦いもスリルがある。すっきりしてないのが人間らしい。2023/02/25
トムトム
28
先日モンゴル出身の方と話していたら「モンゴルは範囲を広げ過ぎて、アッチャコッチャの戦争にいちいち顔を出すのが困難になった(面倒くさくなった)」と言っていました。日本人はチンギス・ハーンが好きというか、それぞれの解釈があって面白いと思った次第でございます。2023/07/25
南北
18
モンゴル帝国がユーラシア大陸でどのように広がり、その後どのような影響を与えていったかについて書かれている本です。ただ以下の点は問題だと思います。①読者の対象を研究者の卵と考えているのではないかと思われること、②先行研究として岡田英弘氏の名前を出していないこと、そのくせ岡田氏の造語である「韓半島」を何の断りもなく使っていること、③歴史を語るのに自分の政治信条が前面に出ているような箇所が見受けられること、です。特に②は学問として当然必要なことなので、著者の学者としての資質を疑わせるものになってしまいます。2018/10/19
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