内容説明
なにがあっても、離れない。家族は失った。けれど、隣にはお前がいる。昭和24年、上野。戦争未亡人ばかりを集めたバー・山猫軒で、二人はひっそりと暮らしていた。バーを切り盛りする青柳きわと、住み込みで働く立平だ。生き抜くため、絡み合う蛇のように彼らは時代を駆け抜けた。戦後復興期を舞台に、親のない少年と若き未亡人の名付け得ぬ関係を描いた加藤元の新たなる傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
114
時代が悪かったのかー誰でも心に虎を飼っている。欲望という虎は決して檻から出してはいけない。だが、トモ代が立平が青柳きわが欲望の虎を檻から出してしまう。そして喰われる前に喰ってしまう。生まれつきの悪党などいないのに時代が環境が悪党を育ててしまうのかーさすがに『帯』は煽り過ぎだろうと思ったが、どっこい加藤元やるわい!ラストも想像はつくのだが先が気になり一気に読了した。戦中・戦後の熱を感じながら、どうぞ立平ときわの明日の目覚めが穏やかであるようにと、どこまでも二人で生き抜けと思った。2016/04/26
itoko♪
79
戦前戦後を生き抜いた、きわと立平。『与えられた人生だ。いつかは奪われる。』まじめにコツコツと働いているだけでは生き抜いていけない。二匹の蛇が絡み付くように一蓮托生の道を歩んできた二人の道程。行きつ戻りつする時系列に混乱しつつ辿り着いた真実は…。二人には道が続く限り、どこまでも行ってほしいと強く願った。カトゲンさんの作品は、派手さはなく堅実なんだけど、読後にズシリと余韻が残る。もっと多くの方に知ってほしいような こっそりと楽しみたいような複雑な心境だ。2016/05/10
pukupuku
61
図書館の新刊の棚で見かけて,綺麗な絵だなぁと思って手にした一冊だったけど,中身は結構血なまぐさい。終戦後,生きるために悪事に手を染め生きた人々の物語。休み休み読んだのと,時系列が行ったり来たりだったのとで,途中から誰が誰だかわからなくなってしまって,混乱した。悪事を働く人間には,悪事を働く人間が近づき,結局また悪事を働いてしまう・・・無限ループなんだろな。2016/04/26
keith
35
戦中から戦後にかけてしたたかに生きた立平、章一、トモ代、きわ。時代の波に翻弄されながらも生きるために生き抜く。時には虎と呼ばれ、時には蛇となる。昭和の事件簿のような物語でもあります。最後に旅に出た二人、まさしく蛇の道行でした。2016/06/27
おかむら
34
著者初読み。戦中戦後を生き抜く男女のノワール小説。復興期の上野や湯島界隈の猥雑感が良かったー。ミステリー要素もあり時系列も面白く、この著者はアタリ!2016/06/09
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