内容説明
「旅を続けていると、ぼんやり眼をやった風景のさらに向こうに、不意に私たちの内部の風景が見えてくることがある」。マラケシュのホテルで見た「待つ女」、ローマで旅愁を覚えた終着駅、カトマンズで胸をしめつけられた裸電球――。旅先で撮った八十一枚の写真から、人生の機微を描いた物語が立ち上がる。沢木耕太郎「もうひとつの旅の本」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
496
沢木さんが旅先で撮り溜めたという各一枚に、1ページ以内の短文を付けた見開き。文章が短すぎて「もっと読みたい!」という葛藤と戦いながら読み切った。フィルムカメラ→デジカメ→スマホと変遷し、人類はかつてないほど写真を撮るようになったが、やはりフィルムカメラで撮った時代はその一瞬を、昨日のことのように思い出せる、という点で歴史を変えたことよなぁと。作中、「あ、ここでわたしも写真撮った!」という場所があったが、フランクフルトの中央駅。ヨーロッパの駅はどこも似たようなもんだと思うが、嬉しかった。2023/11/11
やすらぎ
214
旅をしていると、ふと自分の小ささに気づくことがある。果てしなく光射す海、終わりなき砂漠の稜線。先のない終着駅。裸電球が異国を灯す。そこに私はいる。前に進むことを躊躇う私がいる。歩いてきた足跡は一瞬に消え、砂に埋もれてしまう。どこか遠くから吹き下ろしてきた風に、私は足を止めてしまう。…旅路で心に残る一枚と、添えられた語りかける言葉が綴られている。人は歩きながらも考えることはできる。しかし、世界を広く知るためには、立ち止まった方がいいのかもしれない。沢木耕太郎氏。旅の窓からは忘れられない「いま」が見えてくる。2022/01/21
KAZOO
128
沢木さんが旅の途中でのご自分で撮られた写真と1ページに収まるくらいの小文を集められた本です。世界の各地様々なところがほとんどであまり意図しないで撮られた写真が結構あるようです。何気ない人々の様子や子供、年寄りの顔などに印象の残るものが多いという気がしました。何度も見直しても飽きない感じです。2025/01/31
涼
84
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2024/01/post-31f40f.html こんな風に、旅で撮った気に入った写真に文章を付けて保存するというのも、楽しいかもしれません。2024/01/10
ふう
77
見開きの左ページに小さな写真、右ページに短いエッセイがあります。あとがきにもあるように、「旅の窓」は「心の窓」。写真は言葉以上に沢木氏の心を写し出しているようです。味のある顔、光のある風景、めずらしい瞬間、そして素朴な笑顔…。ときどき、胸にこみ上げてくるものがありました。写真から半歩、わたしの心から半歩歩み寄って感じ合うものと、もうこんな旅をすることはないだろうなという寂しさとがあったのかもしれません。マジック・アワー。わたしも夕方の空が醸し出す壮大な絵が好きです。2016/06/20
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