岩波科学ライブラリー<br> ヒトはなぜ絵を描くのか - 芸術認知科学への招待

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岩波科学ライブラリー
ヒトはなぜ絵を描くのか - 芸術認知科学への招待

  • 著者名:齋藤亜矢
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 岩波書店(2016/04発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000296212

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内容説明

円と円を組み合わせて顔を描くヒトの子どもvsそれができないチンパンジー.DNAの違いわずか1.2%の両者の比較から面白いことがわかってきた.ヒトとは何か? 旧石器時代の洞窟壁画を訪ね,想像と創造をキーワードに脳の機能や言語の獲得から考察する.芸術と科学の行き来を楽しみながら考えよう.【資料図満載,カラー口絵1丁】

目次

目  次

 プロローグ 洞窟壁画を訪れる

 1 描く心の起源を探る旅の出発点
   クロマニョン人たちの絵筆/ヒトが絵を描き始めたころ/個体発生と系統発生の二つの視点
 2 ヒトの子どもとチンパンジー
   なぐり描きから表象へ/チンパンジーに絵筆/表象は描かない/シンボルを学習し、描かれた表象を理解するチンパンジー/チンパンジーはなぜ表象を描かないのか/チンパンジーの筆さばき/画竜点睛をかく/あいまいな形に具体的なモノのイメージを見立てて描く/洞窟壁画につながる
 3 「ない」ものをイメージする力
   石器製作や狩猟技術で磨かれた「イメージする力」/言語の獲得とイメージ/チンパンジーの子どもは、ヒトより記憶力がいい?/チンパンジーたちのモノの見方/木を見て森を見るヒト/動作を介した想像力/今を生きるチンパンジー/記号的な絵と写実的な絵/さかさまに描く子/さかさネコ耳図形に描く/見たモノでなく、知っているモノを描く
 4 なぜ描くのか
   ヒトはなぜ描くのか/描くことが「おもしろい」?/身体的な探索と内的なルール/イメージを外化するおもしろさ/イメージを共有する喜び/イメージと神話
 5 想像する芸術
   世界の見え方が変わる/概念を拡張するアート/概念をくつがえすアート/概念を拒絶するアート/想像から創造へ
 エピローグ 芸術と科学の間で
   謝辞
   参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

261
ヒトはなぜ絵を描くのか―この問いには、それが楽しいからだ、といういたってシンプルな答えが返ってくる。つまり、言葉を変えれば、物理的な報酬以外の報酬―すなわち描き手は快感を得ているのである。本書はアルタミラ等に残された数万年前に描かれた絵に始まる芸術の胚胎を考えるとともに、つまるところは人間にとって認識するとはどういうことかを「描くこと」を手がかりに考察したものである。そして、ヒトはどうやら言語能力を獲得するかわりに、映像記憶能力を失ってしまうらしいのだ。チンパンジーの対照実験をはじめ興味深い試みに富む。2015/07/15

けんとまん1007

70
絵を描くことは、あまり得意ではない。見るのも、ほどほど。決して、わかろうとして見ているのではなく、何となく感じるものがあればいいというくらいで。それでも興味はある。そんな絵を描くという行動自体が、興味深く解かれている。認知科学という視点が面白い。生物としての進化との関連性も、なるほどと思う。進化の歴史は、人が生まれ成長する過程にも表れているというのは、素人なりにも想像できる。描き心地という感覚も、納得だ。2023/02/09

booklight

30
【拾読】答えは、なかった。むしろ、なぜ淘汰されなかったか、と考えるべきか。幼児やチンパンジーの描く様子から、世界に対する働きかけ、具象的な絵、記号的な絵、記号的に共有するための絵、などの話を紐解く。社会を、共同幻想を共有するのに役立ってきた。神を描くことで、神を共有しやすくなる、ということか。描くこと自体は無報酬でもやるほど楽しいコト。チンパンジーも同じ。社会性と個人の楽しみという他の感覚と同じであるなら、答えがないのも理解できる。人間の存在に答えがないように、たまたま残った能力なんだろうな、きっと。2023/06/18

りょうみや

22
絵を描くということと芸術に関して、チンパンジーとの比較とヒトの発達過程の観点、具体的にチンパンジーと幼児の描く絵の実験から考察している。タイトルの答えは推測の域をでないのだけど納得させられる。ヒトが持つ想像力と創造力、視覚的イメージングと言語能力とのトレードオフらしく関係がおもしろい。この分野をもっと読んでみたくなった。著者は修士までは京大、博士課程は東京藝大という特異な経歴。本書もそれが活かされれているよう。2023/07/02

calaf

21
サブタイトルの「芸術認知科学」って、初めて聞く名前だなぁ...と思っていたら、この著者の造語であるらしい (^_^;;; 京大理学部から医学研究科、その後大学院博士課程から東京藝術大学に移るという経歴を持つ著者が、人に説明するためにつくり出したモノで、広めていきたいと思っているらしい (^_^;;; それはともかく、この人のやっているのが、芸術と科学の融合の世界の研究というのは間違いないようです。2014/04/17

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