内容説明
“近代世界を一つの巨大な生き物のように考え、近代の世界史をそうした有機体の展開過程としてとらえる見方”、それが「世界システム論」にほかならない。この見方によって、現代世界がどのような構造をもって成立したかが浮き彫りとなる。すなわち、大航海時代から始まるヨーロッパの中核性、南北問題、ヘゲモニー国家の変遷など、近代のさまざまな特徴は、世界システム内の相互影響を分析することで、はじめてその実相を露わにするのだ。同時にそれは、歴史を「国」単位で見ることからわれわれを解放する。第一人者が豊富なトピックとともに説く、知的興趣あふれる講義。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TS10
48
資本主義の発展を一つの世界的な分業体制の展開と見做す世界システム論。本書では、こうした世界システム論を視座に近代史を眺望する。フランス革命からアメリカ独立革命までをもその理論的射程に収めるスケールの巨大さには驚かされる。産業革命をあまり重視していないのが意外だった。また、アメリカをはじめとして、西半球における国内格差を説明する上で示唆する所は大きいように感じる。本書は現代史には詳しくないが、世界システム論では現代史はどのように説明されるか非常に気になった。2024/07/02
kei-zu
44
著者による「砂糖の世界史」(岩波ジュニア新書)があまりにおもしろかったので、本書にも手を伸ばしました。 国の発展は、単純に工業化や市民革命を背景にするものではないという著者の指摘には説得力がある。国や地域の相互依存は、「グローバル経済」がうたわれる以前から国々の社会構造に重く横たわっていたようです。 世界史がお好きな方は、ぜひご一読を。2022/04/20
壱萬参仟縁
38
南北問題は、北が工業化され、南が食糧・原料生産地として開発された結果、経済社会のあり方が歪んで生じた。南は猛烈に低開発化された(26頁)。民衆の保護者コベットによれば、ジャガイモとはアイルランド人の怠け芋で、労働者が主食にしているのは、経済的抑圧のしるしにはほかならない(192頁)。2016/07/03
逆丸カツハ
32
やっぱ世の中ロクでもないな。うーん、高いけどウォーラーステイン揃えて読んでみるか…。2024/09/16
みねたか
30
ヨーロッパ中心の近代世界システムの成立をわかり易く解きほぐしてくれる書物。端的には,近代世界システムの特徴は,帝国として政治的に統合されず,大規模分業体制として成立し,あくなき成長拡大を追求する内的動機が内蔵されていたため拡大膨張を続けたこと。それにしても、周辺世界を原材料生産地として猛烈に開発し,奴隷制という形で人間自体も商品とし,原料供給地との三角貿易を通じて本国の利益を得ていった様子はおぞましい。2016/08/05
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