内容説明
昭和二十年八月の敗戦を境に、皇室は根本から変わらざるをえなかった。平和日本を実現し、「新しい天皇像」を示さねば、皇統を維持することなどできない。そんな切迫した思いを胸に、昭和天皇と当時皇太子だった今上天皇はともに戦後を歩み、今日の礎を築いた。新時代の皇室へ至る軌跡を、天皇父子のありようから描いた好著。
目次
序 章 時代の分岐点に立って
第一章 軍国主義下の帝王教育
第二章 戦後空間での皇太子像
第三章 新皇室論の実践者として
第四章 皇室の新時代と家族史
第五章 新しい天皇像をめざして
第六章 平成時代と天皇像の確立
終 章 歴史にいかに刻まれるか
あとがき
文庫版あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雲をみるひと
9
誕生から退任五年前くらいまでの期間の明仁天皇記。概ね、フェアな目で分析されていると思う。昭和天皇との関係を含めた幼少期の時代の記述が詳しく、明仁上皇の人格形成の過程がよくわかる。2020/07/27
なわ
1
誰がどう言おうが、日本はやはり天皇という心棒の上に成り立っているということを再確認。右に左にぶれやすい日本人の気質だけど、ここに重心となるものがあるから、ここまでやって来られたんだという気がする。2014/05/11
らぴす
1
昭和最後期に生まれた私は、昭和天皇の記憶はない。平成天皇の即位も伝聞であり、どこか遠い世界の話だ。世継ぎの皇子が生まれてテレビで騒ぎ立てても、どうでもいいじゃん、というのが個人的な感情だった。ふと新刊の中で気になって手にとった一冊。今上天皇が皇太子時代から、いかに苦慮して国内外に接してこられたかを窺い知ることができた。陛下の苦慮があったからこそ、今の時代があるのかもしれない。象徴天皇だからこそできることを模索してこられた陛下。一人の人として尊敬する気持ちが芽生えた一冊。2014/03/23
くらーく
0
昭和と平成、そして2年後には浩宮皇太子が新たな天皇陛下になる。。。 先の大戦後、象徴となった天皇陛下。やはり、昭和と平成の天皇では、国民との接し方、国民の意識が大きく変わったと思う。本書を読んで、平成天皇は想像を遥かに超えて、平和に注力されていたのだな、と感じた。ある意味、父の作ったイメージを変えて、平和国家日本を世界にアピールしていたのだな、と。それを支えた皇后陛下も素晴らしいなと。その時代に生きられた事に感謝だな。平成時代には他国と戦争は無かった。これは、明らかな事実。次はどうなるのかねえ。2017/05/20
Sue
0
昭和天皇、平成天皇の時代に生きれてよかったなとつくづく思います。2015/11/30