内容説明
陸海軍の学校では敗戦後まで英語教育が行なわれていた。目的はなんだったのか。どんな教科書や参考書が使われていたのか。幕末に始まった外国語教育は近代陸海軍創設からアジア・太平洋戦争に至るまで、皮肉にも日本の帝国主義の歩みを下支えしてきた。英語教育史研究の第一人者が、当時の生徒が使用した教科書や残された手記の分析、生存者への取材から、知られざる教育の実態に迫るとともに、それらが戦後に遺したものを明らかにする。
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行雲斎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
57
#説明歌 軍隊と言語教育関係は諜報謀略防諜と技術導入語学将校 陸軍の幼年学校ドイツ語とフランスロシア。英語はなくて 現地部隊補給軽視は食料と石川源三「ピジン英語」に2016/05/16
壱萬参仟縁
43
人間が外国語を学ぶ究極の目的は、異文化の他者と意思疎通し、平和共存するため(4頁)。外国語教育の問題点:①軍部の官僚硬直化で士官学校の外国語を固定化。②西洋崇拝とアジア蔑視を軍に持ち込み、アジア諸語の教育軽視。③実用面が弱く、インテリジェンス活動と結合されず(21頁)。司馬遼太郎は仏・独語堪能の明石元二郎(陸軍大将)を語学狂と称した(96頁)。入試英語を見ると、一般の陸軍士官の英語力は高くなかった(163頁)らしい。多様性に対応した外国語学習機会を保障することこそが、世界を正しく認識し、2016/06/07
nnpusnsn1945
39
富国強兵により、帝国陸海軍は語学の素養を身に着けていた。海軍はオランダベースに創設されたが、イギリス式に変更したため、敵性語政策も関係なく英語を学んでいた。対して陸軍はフランスからドイツ式の制度のためか、英語を軽視しており、英語学習組は優秀であっても出世は望めなかった。対米戦争になっても対ソ戦構想を捨てきれておらず、学習は幼年学校を除いて消極的であった。2021/06/18
松本直哉
25
少数精鋭にいち早く日本語を特訓させて日本軍の暗号を解読していたアメリカと対照的に、独仏露語中心の明治期の課程への固執と英語の軽視、東條はじめ陸軍トップは皆ドイツ語閥(などというものがあったのだ)。敵の言語も侵略したアジアの言語も学ばず戦争に突き進んだ日本軍。夜郎自大というか、これでは勝てるはずがないと思った。戦後掌を返したように英語一辺倒でセンター試験の外国語選択は99%以上が英語というのも異常だ。世界人口70億のうち60億は英語を解しない。戦略的でバランスの取れた外国語教育はこの国では無理なのか2016/09/19
ヘタ
19
旧日本軍内部でどのような(エリート)外国語教育が行われてきたのかを明らかにしようとした内容。筆者は「東条英機ら幼年学校出身の陸軍中枢部は英語をほとんど学んでおらず、アメリカやイギリスの実力や作戦を正しく認識しないまま無謀な戦争指導を行った」と言っていますが、ドイツ語に明るかった陸軍系エリートが日独防共協定締結をリードしたと聞きます。2017/09/16
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