内容説明
デートの経験もある。男と寝たこともある、一度きりだけど。二十五歳の二宮風吹(にのみやふぶき)は「必死」が苦手。恋に餓えた顔を晒(さら)すぐらいなら地味で結構。そんな私が一目惚れするなんて。鍵屋の若旦那を想う気怠(けだる)く、もどかしい日々。攻め手が分からない。そんなときアパートの大家が言った――「好かれようとしないことよ」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なゆ
65
大雑把にいえば恋愛系の話だけど、これは面白かった。鍵屋に恋してしまった風吹。オブリガート。ハーモニクス。呪文のように、ときめきが見えるような言葉の使い方がうまい。そして周囲の人物たちも、なかなかクセ者だ。風吹のライバルは七十歳の大家なのか、それとも…。ありえなさそうだけど、言葉少なで意味深な鍵屋に先が気になってしまう。恋にオクテでただ真っ赤になってるだけのような風吹にも、あの甘い言葉に流されない冷静さは褒めたい。あそこで流されてしまったら、取り返しがつかないはず。これできっとベリーダンスも上手くなるかな。2017/02/03
siro
54
不器用な女の子の話。風吹の気持ちは何となく分かる。好きになった人にいろんな自分をひっくるめて全て好きになって貰えたら幸せだろう。不器用なりにちょっとずつでも努力する風吹は可愛いと思う。周りには頑張ってないと言われるけども(笑)大家さんやヒロエ・Oみたいに熱烈に恋をする女性のエネルギーって凄まじい。多分殆どの女性は平和な日常で妥協しながらそれなりに幸せと納得してるんだろう。私も含めて。2015/05/20
KAN
45
恋愛ものというか人生ものというか。やはり朝倉作品好きですね。好きになるのが鍵屋というのが、さすがです。親友との掛け合いが面白い。楽しめました。2016/09/08
lonesome
44
面白かった。朝倉さんの作品は初めて読んだけど、主人公の風吹の話し言葉がなるほど非常に風吹の性格を上手に表してるなあと思う。大家さんは師匠と呼びたくなるような素敵なキャラクターだし、風吹のお母さんもいい! 「あれこれ思うはひとの心、ふっと思うは神の心といいましてね」(p.77)「好かれようとしないことよ」(p.254)―「ほんとうの・わたし」は恋と同じく、なまものだ。 確かに。恋は理屈じゃない。一目惚れしたとき考える前に身体が勝手に動いてたもの。そういうことだ。2014/01/10
ぶんこ
42
どうも私には合わない文体なようで、読み続ける気力を失いました。念の為朝倉さんの既読本6冊の感想を読み返すと、すべての感想に苦手意識が書かれてました。作者も題名もすぐに忘れてしまう弊害が出たようです。2017/02/13