内容説明
北朝鮮、パキスタン、イラン、日本・・・・・・核拡散の源流を徹底取材!
「平和国家・日本」の知られざる罪とは。
毎日新聞「戦後70年」企画の決定版!!
日本では福島原発事故から5年を迎えた2016年、北朝鮮の核実験、弾道ミサイル打ち上げなど核をめぐるニュースが相次ぐ。現在の北朝鮮を支える核開発技術は、どこで生まれ、北朝鮮に渡ったのか? 「平和国家・日本」は核技術とどう向き合うべきなのか? 本書は、世界と日本の「核議論」を見直す上での新たなスタンダードとなる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
28
16年版、毎日新聞編集委員。パキスタン、イラン、日本の核技術の開発の歴史を見るが、開発国の裏事情と関連国の懐事情などかなり複雑。核を持つことは国家戦略であり、世界へ出るための印籠の様なもの。日本の佐藤栄作首相もノーベル平和賞を取りながら核の持ち込みを秘めていたという。原発に関わる技術は核の開発に関連し簡単に捨て去れるものでない事も理解はできる(核抑止力に通ず)。技術者の育成、維持など国家のあり方を問われる。2018/04/23
masa
24
図書館の新刊棚から手に取った。東日本大震災で一時は原発が完全停止した我が国だが、最近は稼働前提の規準を設けて無理矢理再開している感がどうしても否めない。夢の計画であった高速増殖炉も遅々として進んでいない現状が原発の歴史と共に綴られている。暴走する北朝鮮の核の脅威から日本を守ってもらう為にアメリカの核軍縮が進まないというのは皮肉以外の言葉が見つからない。160502016/04/17
coolflat
19
パキスタン、イラン、日本の核開発事情を探っている。195頁。日本が開発したウラン濃縮技術の一端が海外に流出している。日本は非核三原則に加え、IAEAの核査察にも徹底的に協力することで「世界の優等生」という立場を確立してきた。だが、レーザー濃縮技術の特許公開など、技術情報の管理面になると急に脇が甘くなる。その原因は原子力基本法にも一因がある。平和利用と共に「民主・自主・公開」の三原則を定めた法律は成果の公開を求めている。平和目的であってもその技術は核開発に転用できる。そんな両面性を持つ技術情報が公開される。2016/08/08
樋口佳之
11
unlimitedにて。核の技術が究極の軍事力であるという感覚が確かに希薄でした。2018/03/18
okadaisuk8
3
原発反対派も推進派も、電力が足りるとか足りないとか、割に国内の、それも経済ベースでの議論が多いと思うが、実際には国際社会では原子力技術≒核兵器開発技術であり、議論には国際的・軍事的な視点が必要だし、そうでなければあまりにも無邪気だと痛感させられる。濃いエピソードの連続だが、ほとんどは十数年前の話。今はどうなっているかと考えると恐ろしい。2016/05/17