ちくま学芸文庫<br> 近代日本とアジア ──明治・思想の実像

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ちくま学芸文庫
近代日本とアジア ──明治・思想の実像

  • 著者名:坂野潤治【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2016/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480095763

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内容説明

近代日本の対外論は、「アジア主義」対「脱亜論」という図式によって描かれてきた。前者は欧米のアジア侵略に東アジア諸国とともに対抗しようとする立場であり、後者は欧米列強の一員としてアジア進出に参加すべしという主張だ。福沢諭吉、山県有朋、陸羯南、青木周蔵ら、少なからぬ政治家・思想家が、この二つの対外思想の間で揺れ動いたと理解される。だが、そうした論理の使い分けは、第一次世界大戦後に欧米の中心がイギリスからアメリカに移り、アジアにおける中国の存在感が増すにつれ、通用しなくなっていく──。日本外交を規定する構造とその変化を明らかにした記念碑的論考。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

22
福沢諭吉『時事小言』:アジア連帯論の一方で、アジア分割論。アジア改造の内実とは(018頁~)。岩倉具視「日清協調論」(073頁~)。5百円札肖像画か、懐かしい。青木周蔵と福沢諭吉の共通点 と相違点(080頁~)。朝鮮領有の賛否は列強への説得あってのようだった。 日支親善論:岩倉具視、近衛篤麿、山県有朋(149頁)。著者の仮説:日本のアジア膨張に対し中国 の抵抗が強い→脱亜論正当化。抵抗弱い→アジア主義的(155頁)。安倍外交は如何に? 福沢のアジアの改造は、朝鮮の改造を意味した(181頁)。 2015/06/07

きゃりーねくねく

2
明治から大正期の日本におけるアジア主義から脱亜論への思想的転換とされてきた変化を対外政策(論)の変化として読み解く.当時の思想家,政府・軍部関係者,ジャーナリストなどの言説の変化を追いながら,各人の対外論が国際情勢によっていかに変化を迫られ,その変化に合わせて侵略の正当化の論理をいかに変化させてきたかを丹念に論じる.それらの分析を通じて,国外の状況に応じた対外論の変化の中に繰り返される一定の「型」を見出している.2023/01/27

spanasu

2
福沢諭吉の「脱亜論」が親日政権樹立に失敗したゆえの負け惜しみであったという解釈を示した有名な書。中国が強いか弱いか、西欧に(ロシアか)順応するか対抗するか、で脱亜論かアジア主義かの表現をとるという見通しを示す。現実、認識、表現の三層を設置した方法論が素晴らしいと言うべきか。2020/06/07

カラコムル711

1
理屈が多くて理解しにくい議論の展開である。私の頭が悪いのであろう。それでも結論部分の福沢はアジア主義的主張の時が朝鮮侵略をねらい、脱亜論を唱えてからは現状維持に後退した。つまり一般の理解は逆だという理論、わかりにくい。そうとしても福沢が朝鮮支配を諦めた訳ではないだろう。 アジア主義を日本が唱えるのは中国が弱体化しているときで、欧米協調を言うときは中国を強国と見なしているときだという論は面白い、おそらくそうだろう。 日本、中国、欧米の三者の関係から各種戦略が生み出される。今も同じことだ。 2014/02/28

勝浩1958

1
著者は「日本自身が持つ固有の価値で日本の朝鮮や満州への進出を肯定することができないとすれば、その膨張の肯定は欧米の動向、中国の動向、朝鮮および満州自身の動向、という日本の外部の動向、およびその動向を正当化する「言葉」によってしかなしえない。」と結論付けている。現在のアジアを眺めれば、多くの国の主張や動向は、そのような他国のことにはお構いなしに、先ずは自国の内情に大きく影響されているように思うのであるが、いかがか。いや、やはり当該問題に関係する国々の動向に大きく影響されるし、国によって内情も異なるか。2013/11/02

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