内容説明
総監へのレクチャー中、部下の拳銃自殺を知った。柴崎令司は三十代ながら警部であり、警視庁総務部で係長を務めつつ、さらなる出世を望んでいた。だが不祥事の責任を負い、綾瀬署に左遷される。捜査経験のない彼の眼前に現れる様々な事件。泥にまみれながらも柴崎は本庁への復帰を虎視眈々と狙っていた。日本推理作家協会賞受賞作「随監」収録、あなたの胸を揺さぶる警察小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サム・ミイラ
141
二作目の「出署せず」でも触れたが横山秀夫作品と隠蔽捜査シリーズのちょうど中間に位置するような作品。そこに佐々木譲氏のスパイスをひと摘まみ。事務畑一筋の柴崎さん、刑事なんて嫌いだし捜査などとんでもないと言いながらしっかりやってるのが可愛い。実は刑事に向いているのに自分では気づいてないのが面白い。周りはうっすら気づいてるのにね。頼られると断りきれないつまりは巻き込まれやすい性格も警察官としては好ましいと思うし、必ずや将来は大物になれる器なので署轄で腐らずキャリアを積んで頂きたいと思う一作目なのでした。2015/05/16
KAZOO
116
警視庁の上昇志向が強い内務官僚であった主人公が、部下の拳銃自殺により現場(綾瀬署)に左遷されます。そこで今までに現場経験のない彼にさまざまな事件が降りかかってきます。ある意味刑事としての成長小説的な話であると感じます。癖のありそうな副署長などに囲まれて今後どのようになっていくのか気になります。2021/07/17
ゴンゾウ@新潮部
107
普通の警察小説とは異なる連作作品集。上司に責任を擦りつけられ左遷されたエリート警察官。とても読みやすく面白いのだが警察内部の隠蔽体質や汚職がテーマになっておりすっきりしない。本庁復帰を画策し続ける執念深さにもヘキヘキしてしまう。今作以降、柴崎はどこへ向かうのか?2016/06/10
タックン
103
再読かと思うけど覚えてないなあ・・・・。シリーズを逆に読んでやっと柴崎が綾瀬署に左遷されてきた理由がわかった(撃てない警官)理不尽だなあ・・・。っで最後の(抱かれぬ子)では左遷の原因をつくった元上司への復讐と赤ん坊連れ去り事件と元警官の義父が複雑に絡んだ話になってるが曖昧なまま終わってるので消化不良。柴崎が警視庁本庁に復帰するまでこの戦いが続くような気が・・・。義父との関係も目が離せないな。日本推理作家協会賞受賞作の(随監)が渋くてよかったな。2016/11/28
積読亭くま吉(●´(エ)`●)
100
★★★WOWOWのドラマで田辺画伯が主役で、ちょ~面白い。まぁゲスい、潔さの欠片も無い、自己保身の固まりと固まりが、ぶつかり合ってネトッとする。ドロっと感がたまらないドラマ。我慢出来ずに読んでみた。原作も面白いンだけど、ドラマの方がまだドロドロしてて、好き(笑)事務方キャリア警察官柴崎が、警官同士の不祥事に巻き込まれ陥れられ、所轄に飛ばされる。ソコから這い上がろうとする物語。どの事件も解決してもスッキリしない、割り切れない、遣る瀬無い。が、リアル2016/01/22