内容説明
神山佐平は、やむなき事情から家中の者を斬り、無断で江戸へ帰ってきた。わずか二年前に仕官したばかりだった。主君の死に始まる山代家の騒動はいまだ治まる気配を見せない。殿の愛妾となった幼なじみ、行方をくらました元藩士、朋輩の美しき妹、忍び寄る影。佐平は、己の進むべき道を見つけることができるのか。若々しい熱気と円熟した情感をたたえた、志水辰夫の新たなる代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
128
2009/10/3 ジュンク堂三宮本店にて購入。 2021/5/24〜5/29 12年ものの積読本にして、3年ぶりの志水作品。志水さんの初時代小説。初期志水作品で見られた熱い男が時代小説を舞台に復活。久しぶりのシミタツ節に感動。2021/05/29
Dai(ダイ)
19
あの「シミタツ」が時代小説を書いた。というので大好きな時代小説がシミタツ節で読めるのかと期待していた。が、ハードボイルドの名手と言えども時代小説は荷が重かったか。とは言え、小説としての面白さは十分あり楽しませてもらった。チャンバラシーンがうまく表現できていればもう少しのめり込む事が出来たかも知れない。そして主人公の佐平はいくら題名が「青に候」とは言え、青過ぎ。2014/11/12
佐々陽太朗(K.Tsubota)
10
シミタツらしいストレートなハードボイルド小説だ。しかもシミタツ初の時代小説ときた。良いです。小説そのものも良いが、何よりも題名(あをにさうらふ)がすばらしいではないか。「青に候」とは若いということ、同時に未熟ということでもある。しかし、若いだけに考えに、行動に打算がない。未熟故に悩みながらも、自分がそうあるべきと信じた道に突き進む強さがある。そこにある危うさに読者は惹かれる。2009/10/14
うえぴー
9
素晴らしい。実はいちど挫折していた。時代小説という先入観から甘く見ていたのだ。しかし登場人物は多い、プロットは錯綜している、地名や時代背景に対する知識が不足している。そこで改めて腰をすえて読み始めた。パソコンの前に構え、情報を補完していった。すると、たちどころに豊穣な物語が目の前に現れはじめたのだ。著者初めての時代小説だが、読了してみれば、初期から書き続けていた、持たざる者、失った者が、それでも大切なものを強く求めていくというプロットは、時代背景を違えても同じものだということが分かる。必読の一冊。お薦め!2012/11/19
goro@the_booby
8
志水辰夫初の時代物。青とはそういう事だったのかと感嘆の思いで読了。一人の男の成長物語でありました。みんな青かった時を経て熟すのだなと思う。剣劇シーンもチャンバラにならず読み応え有り、いいね!佐平の青さの輝きと苦しさをからませて清々しい物語です。2014/08/26
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