内容説明
「ヤクザ、アキンド、ヨシモト」マスコミに描かれる関西人は三つの人種のみで、かれらは「けつねうどん」と「たこやき」を主食にしており「わやでんがな」などの、奇妙な言葉を操りつつ「がめつい奴」を演じている――という、恐るべきカンサイ人の朝昼夜。街角の看板、張り紙。試験に出る関西弁を縦横無尽、奇想天外に考察し、関西人にエールを贈り、ヨタを飛ばすエッセイ集。浪速はこれ一冊でわかります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
78
関西人の中島らも氏によるカンサイ人の考察。笑うカンサイ人、考えるカンサイ人、歩くカンサイ人に分けて書かれている。関西賛美の本かと思いきや実はそうではない。関西人の屈折した自意識をはじめ、カンサイ人でなければわからないカンサイ人の嫌なところなどにも触れている。面白かったのはコピーライターでもある著者が紹介しているカンサイのコピーや看板のこと。関東人が読んで関西人が読んでどう感じるのだろう。1991年に発行の本。2017/07/04
よこたん
43
“たいていは炊き込みご飯とかおむすびとかにうどんがセットされたもので、この定食の組成を考えるとほぼ九十九パーセントはデンプンではないかと思う。” うどん定食の組成て。チャーハンをおかずに白ご飯は笑う。関西にどっぷり浸かって生きている身としては、懐かしさがいっぱい。深夜のテレビで飄々と喋るらもさんを見たのは、もうずいぶん昔のことなのだなあ。「大スポの広告欄」で爆笑し、「十年目の約束」で不意打ちの涙が溢れた。中心にいるようで、実はどこかから静かに俯瞰しているようなエッセイだった。カネテツの蒲鉾、食べたい。2018/09/26
黒猫
26
中島らもさんの大阪に対する思いを語ったエッセイ。面白い。らもさんは兵庫県に生まれたから大阪の神戸の違いについて比較し、大阪は一地方都市なのに東京と張り合っていることがアホやと言っている。これは大阪に対するらもさんの偏屈した愛情かな。でなければこんな面白い作品を書ける訳がない。うどんをおかずにライスを食べる関西人。訳のわからない看板、喫茶店。らもさんは大阪が好きだったのだ。そして生まれた街も。最後の担任の先生の話にホロリとした。10年後に保倉山で皆で会うという約束を一人守った同級生、好い人だなあ。2018/03/05
Shoji
26
本書から引用。 「本音たてまえ、必要悪に不要善。人のなりわいのため息が街を成している。」 「なあ、ええやんか」が会話の骨格である。 なるほど。 どうしようもない人たちが住むどうしようもない街やけど、やっぱ大阪やわ。 この大いなる地方都市、ザッツ・オバカンサイが僕は大好きだ。2015/12/26
ぜんこう
17
関西や大阪のことを地方だの田舎だのこきおろしたり「愛憎なかば」とか言うけど、愛情はちゃんと感じます。 らもさんのエッセイ最高!2017/06/18