内容説明
人気作家・モンクは友人のミュージシャンたちとテレビの取材でバリ島を訪れる。撮影はスタートするが、モンク自身の躁鬱と、スタッフの不手際や不協和音に悩むが、呪術師を取材し超常現象を体験した後、モンクも落ち着きスタッフもまとまる。帰国したモンクは親しい友人たちを誘い再びバリを訪れるのだが。リアルに迫りくる幻想体験を通じ、なぜか読むほどに心安らぐ小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
95
この小説は『噂の真相』という雑誌で「小説の態」をなしていない」t酷評されたとあとがきに書かれていた。全く中島らもという人を知らない方が読んだら何やらよくわからないという印象を持つかもしれない。基本的にノンフィクションであると書かれていた。フィクションでもどちらでもいい。読み方に決まりはない。自由に読んでみてはどうかなと感じた。2023/02/19
gonta19
74
購入詳細不明。2015/10/4〜10/54年ぶりの中島らも作品。バリ島を舞台にしたドラック小説。経験者ならではの描写なんだろうなぁ。私の大好きなゴンチチのチチ松村さんをモデルにしたソトさんが良い味を出している。2015/10/05
とち
46
人気作家モンクの2度のバリ島旅行を中心に描いた作品。事実や出来事を淡々と描いた淡泊な文章で、まるでノンフィクション作品を読んでいるような感覚でした(あとがきによると基本的にノンフィクションとのこと)。そんな中目を引いたのは恐らく自信の経験を元に描かれたと思われるドラッグや躁鬱病のリアリティ溢れる描写。特に徐々に躁状態へと変化していくモンクの姿が印象に残りました。2013/06/26
YO)))
22
小説としては結構が定まっておらず駄作という他ないが,バリ島のルポ,テレビ番組制作の裏側ドキュメンタリ,或いはアル中のポップ(その実けっこうハード)な私小説としては楽しめる. マリファナ煙草を吸いながら「こんなものでしょっぴかれるのはごめんだから日本では一切やらない」と仰っている場面がありますが,文庫が出た数年後に大麻所持で逮捕されちゃいましたね.人生はままならないものですね.2016/06/05
もぐら
17
女性の心情を男性作家が書いたり、生きるのが下手な人の心情を書いているのが社会的に成功している作家なことって、ある。よくある。それがまた怖いくらいのリアリティで好きなんですが、主人公と近い状況の作者がその主人公の心情を書いた時のリアリティと前述のリアリティとの差はなんだろう。本書は私小説で、躁鬱病でアルコール依存症でヤクもバッチリキメてる中島らもさん本人が書いてる本物。否定されたら直接自分が傷付く立場なんだな…らもさん裸なんだな…って思った。2019/12/15