内容説明
日本中を沸かせるサッカープレーヤー、プロ野球界屈指の名選手、プロレス「最強伝説」の男、カリスマアクションスター、昭和最後の銀幕美女、国民的演歌歌手――現代日本の芸能、スポーツ界を支えるコリアンパワーの真実。在日コリアン3世、舌鋒鋭い論客・朴一が、隣の国からやってきた日本の興行界の花形スターたちの生き様、パワーの源、知られざる苦悩を赤裸々に描く――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
44
芸能界・スポーツ・政界などの在日コリアンの葛藤をドキュメント。個人的には白竜やジョニー大倉のファンで彼らの独特の個性やバタ臭さにシンパシーを感ずるのだが…。最近はそうでもないのかも知れないが、陰に陽に在日であることのデメリットが生ずるのかも知れないのが辛い。飛鳥や奈良時代、半島から先進文明が伝わっていたのだし、その頃の渡来人によって、私たちの血の何10%かは彼らの血が流れているというのだから、ことさら在日と差別する意味はないと思うのだが、どうだろうか。2019/06/05
GAKU
44
在日コリアン3世の著者が、在日芸能人やプロスポーツ選手について語った本。しかし、在日でありながらその出自を隠している芸能人やプロスポーツ選手が相当数いる事実は今やそれほど知られていないことではないでしょう。昔に比べれば今日では、具体的にどの人が在日であるかということまで世間一般に広く知られていると思います。事実、この本で著者が具体的に紹介している方々も、以前から新聞報道などですでに知られている人ばかりです。過去の資料を集めて1冊作った本という感で、結局作者は何を訴えたいのかが伝わってこなかった。2016/04/16
hatayan
35
朝鮮半島にルーツを持つ在日コリアンが出自を隠さなければならなかったのはなぜか。自らも在日の著者がやしきたかじん、力道山、新井将敬、松田優作らの内面の葛藤や苦悩を掘り下げます(力道山は妻へのインタビューも収録)。 在日とわかるとファンが失望する。在日だから政界で差別される。在日がハンデである見方に先人は苦しみました。 新しい世代の動きとして、在日であることを誇りとするサッカー選手を紹介。「ルーツを踏まえていつもそれを意識しているからこそ、まっすぐでぶれずに伸び代がある」と語る鄭大世の言葉を紹介しています。2019/05/15
Mayumi Hoshino
33
個人的には「恥じることじゃないし、隠すことないじゃん」って思いたいけど、それは「パンがなければお菓子食べたらいいじゃん」くらいの、無知による言葉の暴力なのかもしれない。力道山や松田優作が抱えた苦悶や葛藤を思うと。あるいは、現在でもネットにはびこる過激な言論を見てしまうと。それでも、出自を隠さず本名で活躍する若い世代に、光明が見えたように感じた。と、色々考えさせられつつ、力道山の実業家としての顔を追った部分(奥様へのインタビュー)が面白かった。日本で最初にレンタカー事業を始めたのは力道山だったらしい!2017/01/15
たかやん
24
金知憲・黄進煥・朴貴浩。それぞれ阪神タイガースで活躍した3選手、金本知憲・桧山進次郎・新井貴浩の民族名だそうです。金田・金村・金本など「金」の字が入る名字に対しては小さい頃からなんとなく嗅ぎとっていたけれども、桧山&新井の両選手については知らなかった。ショックだ。ルーツが朝鮮半島にあった事実に対してではなく、知らずに長い間応援できてしまえていたという事実に対して。そして金本&新井の両選手は、単なる仲良しコンビ以上に民族的な結びつきという側面が強かったのかもしれない。2019/02/24