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内容説明
項羽との覇権争いに勝った劉邦の下には、名軍師張良と並び称されるもう一人の「知謀の士」がいた――その名は陳平。貧しい家の生まれながら、天下に志を立てようと考えた彼は、初め項羽に仕えていた。しかし、ふとしたことで怒りを買い、誅殺されそうになる。そこで項羽を見限る決意をし、故郷から連れてきた若者とともに劉邦の下へ身を寄せる。劉邦との対面で策略を進言した陳平は、実力を高く評価され、やがてめきめきと頭角を表わすようになる。項羽と軍師の范増を離間させたり、項羽軍に包囲された城からの脱出劇を演じたり、まともに戦えば勝ち目のない韓信を、巡幸を装って捕えたりするなど、見事な「奇策」を展開し続けた。そして、結果的に劉邦の命を六度救う、劉邦軍になくてはならない軍師になるのだった。本書は、劉邦亡き後も、右丞相に昇って国家の重鎮となった陳平の波瀾に満ちた生涯を余すところなく活写した評伝小説である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
糜竺(びじく)
42
歴史文学賞などを受賞しておられる風野真知雄氏だけあって、サクサク読みやすかったです。中国の前漢帝国の祖である劉邦の参謀でもあり、また、劉邦亡き後も重鎮として帝国を支えた陳平の生涯を描いた歴史小説です。劉邦のライバルである猛将項羽との戦いは、非常に見ものでした。そして何より劉邦亡き後、劉邦の妻であった呂后が国を牛耳り始めて、残虐な事を宮廷内で起こし、呂后の一族で国が乗っ取られそうになります。その、漢帝国が危機にある所を、陳平の知恵の活躍で滅亡の憂き目を何とか乗り越えた所はとても読みがいがありました。2016/06/22
MIKETOM
8
張良と比べれば影が薄くさほど目立たないが、重要な局面では大事な仕事をしっかりこなしている。なんと言っても項羽と范増に離間の計を仕掛けて見事に成功させたことなど。もっとも、范増は項羽陣営を離れてからほどなく腫瘍で亡くなったから結局は同じことなのだが、それは考えないようにする。項羽滅亡時点でまだ一冊の半分強。当たり前だがそれ以降も物語は続くわけである。韓信、彭越、黥布等々の粛清、そして蕭何ですら全財産を投げうって身の潔白を証明せねばならなかった。唯一、張良だけが思い切って第一線から身を引き→2026/01/12
BIN
6
参謀の代表格として張良と並び称される陳平の生涯を描いた作品。史記に書かれているエピソードを肉付けした感じで、かなりスピーディに描かれていて読みやすい。項羽と劉邦の味方の陣営側のことしか基本書かれてないので、ある程度項羽と劉邦を知ってる必要がある(というか知ってる人じゃないと読まないか)。城攻めのときに緩衝材ひいて死者や恐怖心を減らしましょうの策を進言しただけで、その効果とか結果を書いて欲しかった。副題が6度救ったとあるけど、カウントしてないのでどっかでまとめておいて欲しかったなあ。2018/02/23
maito/まいと
3
戦略家張良と双璧を張る、劉邦後期の参謀・陳平を描いた歴史小説。謀略好きというやや暗いイメージの強い陳平ですが、そこまで濃い陰性を感じさせない展開でしたねえ。むしろ丞相を目指す野心家という熱さが押し出されていて、さながら青春活劇?な流れも・・・多くの家臣が引退したり忙殺されたり、と粛清の嵐吹き荒れる武帝政権ですが、意外にも陳平は政権内に残っていたんですねえ。晩年まで政権内で奮戦していたという知られざるエピソードも描かれている、貴重な1冊かも。2011/08/10
yun.88.yu
2
劉邦のそばで参謀として最後まで活躍した将として知っていた。しかしながら劉邦の名参謀である張良、鴻門の会で劉邦を救った樊噲、国士無双の由来にもなった韓信などの有名な人たちと比べると余り目立たない人物だった。しかしこの本を読むと、サブタイトルにもある劉邦の命を六度救い、劉邦無き後も国家を平穏に保つため智謀で尽力した凄い人物であることがわかる。特に今までは劉邦が項羽を倒すまでの話しか知らなかったため、その後の国の行方がわかり面白かった。また、個人的に風野さんの文章がなんとなく読みやすくて良かった。2013/03/14
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