内容説明
<日本を変えるにはテロしかない>として三島は自決した。
それは今のテロに被われる21世紀を正しく予見していた。
村上春樹、村上龍、町田康、阿部和重……。
文学者たちはなぜ執拗にもテロを描いてきたのか。
「自分の姿が澄んで消えてしまつたことに、そのとき独楽が気づいてゐないことも確実なら、その瞬間、何かが自分と入れかはつたことに気がつかないのも確実である」(本文より)。市ヶ谷台で自決したとき、三島由紀夫が誰かと入れ代わったことに、彼自身も、まわりの人も、後世も、だれ一人として気づいていない。村上春樹、村上龍、桐野夏生、車谷長吉、町田康、阿部和重、中村文則、上田岳弘……。本書は三島の〈輪廻転生〉の行方をこれらの作家たちに探る試みである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
岡本正行
76
そぼ降る雨に気勢を削がれて、読書でもしようと手に取った。世界中でテロばやり、テロどころか本格的な戦争すら公然と頻発している。やむにやまれずテロ、暗殺を敢行する勇敢な戦士、いまウクライナとロシア、イスラエルとハマス、一時的に停戦・休戦しても、すぐ戦いを再開する。いまのうちに敵を徹底的に叩け。日本人は能天気、昨日の敵は、今日の友。文学では多くの作家がテロをテーマにして作品を造っている。それは小説、自らテロ、自死した三島由紀夫を論じている。言うは易く、行うは難し。死ぬのは怖い、だけどやるのだ、やった三島由紀夫2024/04/03
ndj.
9
三島VSウエルベック、川端康成、村上春樹、町田康、村上龍、大江健三郎等々、切り口が面白そうだったので。著者は三島の生首写真を仕事部屋に拡げて執筆したそうである。いささか牽強付会であり、そもそも三島の蹶起が「テロ」であるのか疑わしいが、ある種の「暴力」をめぐる文学史として読んだ。第Ⅳ章、三島VS村上龍は概ね成功しているように思う。未読の作品も多く、好奇心は大いに刺激された。2016/05/24
FKtaro
3
切り口は面白いんだけど半分以上が引用っていうのがダルすぎてさらっと読み。新書レベルにしてもっと内容絞ったらよかったのにと思う。2016/06/04
田中峰和
2
イスラム国の話題が世間を賑わせるようになり、三島の自決をテロと結び付ける書籍が増えたが、この本もその一つ。自決後の生首を晒した三島に対して、処刑後の生首をネットに拡散するISの共通性を見出す著者。仏の作家ウエルベックが書いた「服従」ではイスラム政権がフランスに誕生するが、それはテロ以上に恐怖だ。さらに村上春樹と三島の共通性を肉体のメッセージから捉える。村上はマラソンを、三島はボディビルを追及した。有酸素と無酸素の違いはあるが肉体至上主義的なストイックさを文学に取り込んだと主張する著者。こじつけだと思う。2016/04/18
くるまやさん
1
こじつけ感。2017/02/01
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