小学館文庫<br> 共震

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小学館文庫
共震

  • 著者名:相場英雄【著】
  • 価格 ¥759(本体¥690)
  • 小学館(2016/03発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784094062731

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内容説明

『震える牛』『ガラパゴス』著者の原点!

 大和新聞東京本社の遊軍記者である宮沢賢一郎は、東日本大震災後、志願して仙台総局に異動する。沿岸被災地の現状を全国の読者に届けるため、「ここで生きる」というコラムを立ち上げた。そんななか、宮沢とも面識のある県職員が、東松島の仮設住宅で殺害された。被害者の早坂順也は、県職員という枠を越えて、復興のために力を尽くしてきた人物だった。早坂は亡くなる直前まで、被災地の避難所の名簿を調べていたという。
 舞台は、石巻、釜石、陸前高田--。著者渾身の鎮魂と慟哭のミステリー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

散文の詞

149
震災後の東北を舞台にした話なのでこれを書くことは色々な意味で大変だったと思う。それだけでも、頭が下がる思いだ。 プロローグからエピローグにつなげる表現はうまい。決していい話ばかりではない事を改めて思い出させそれを忘れないように、そして知り続けること。それが、共に震え続けることだというのでしょう。いいタイトルですね。 トリックも含め目新しくはないけど、比較的論理的で、途中に挟まれる震災の様子も、臨場感を盛り上げていて、ぐっと現実味が増す。 ミステリーというよりもドキュメントって感じかな。 2020/07/20

rico

96
震災から2年、仮設住宅で起こった殺人事件の背後には被災地を食い物にする存在が・・という相場さんらしい社会派ミテリーで一気読み、のはずなのに。挟み込まれるあの日の光景に立ちすくむ。あの道を通ってたどりついたあの場所。「これは瓦礫ではありません。誰かの大切なものです。」現地スタッフの言葉。砂の中に埋まっていたおもちゃ。2回だけ、数日間のボランティアでの記憶が甦る。「伝えたかったのは被災地の現在。」この言葉で腑に落ちた。時とともに薄れゆく記憶や痕跡。11年経った今、この作品に出会った意味を噛みしめる。 2022/03/18

アッシュ姉

95
震災は過去の出来事ではなく現在進行形であることに改めて気づかされます。卓上の理論ではなく、作中の早坂氏のように被災地を駆けずり回って現場で直接耳を傾け、被災者が本当に必要としているものを届けようと尽力されている方には本当に頭が下がります。それとは真逆に震災を利用した卑劣な詐欺を働く輩には心底怒りを覚えます。社会問題をテーマに小説としても読み応えのある作品としては『震える牛』には及ばずといった印象を持ちましたが、震災の復興はまだ終わっていないということを再認識するためにも手に取って良かった一冊でした。2017/04/16

ケイ

92
犯人は、序盤でこの人だろうとわかる人が多いと思う。でも、だからと言って読む楽しみが減るわけではない。筆者のジャーナリズム精神から(?)伝わってくる震災後の世相に読み甲斐がある。NPO法人の禍々しさ、義援金の搾取などは、東北だけの事でなくなった。コロナ禍を経て全国民が共有できる憂いと憤怒。 正直者が悲惨になる世の中でないようにと願う。2023/06/09

ナミのママ

79
新聞記者が主人公の作品を続けて読んでみたくて選んだ一冊。震災に絡んだ事件を追うストーリーと並行して、東日本大震災の様子が丁寧に書かれている心を打つ一冊でした。東京で被災地の様子を画像や電話で見聞きし、被災地に飛ぶ記者。自分の目で見て、足で歩き、心を揺さぶられる姿。何年過ぎても当事者にしかわからない思いに接し、また考える姿。読み終わってタイトル『共震』の意味がわかりました。あとがきと解説が、単行本と文庫本、両方にわたって書かれ、それも含め、作者のメッセージを感じる、読んで良かったと思える作品でした。2016/05/03

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