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内容説明
国際郵便機のパイロットとしても長いキャリアを持つサン=テグジュペリが、勇敢な僚友たちの思い出、技術の進歩、また『ちいさな王子』や『夜間飛行』の物語の土台となった南米やアフリカでの極限状態など、自身の体験に基づいて時に臨場感豊かに、時に哲学的に綴ったエッセイ。本当の勇気とは何か、人間の使命とは何かを熱く問いかける傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
126
めっちゃ面白かった! この本は『星の王子さま』の著者が書いた郵便機の話である。サン=テグジュペリさんは実際に郵便航空会社に就職して実際に空を飛んでいた人である。だからこの話はサン=テグジュペリさんが実際に起こったことを小説にしている。そのため話がリアルでためになるものであった。そして文章はほんとうに美しい。著者の文章力もすごいが、訳者の渋谷さんも美しい日本語に訳してくれたため読みやすくスラスラ読めた。まだ『星の王子さま』を読んだことがないので読みたいと思った!2019/11/11
naoっぴ
90
パイロットのサン=テグジュペリの自伝的作品。さまざまなエピソードの中からリアルに叙情豊かに、人間のあり方が描き出される。臨場感ある冒険譚も素晴らしいが、極限状況にこそ見えてくる人間の神聖な精神性に深く感じ入った。星空の下、砂丘に横たわり自分を繋ぎとめる力を感じるとき。遭難したのは自分だが、真の遭難者は自分ではないことに気づくとき。死を目前にした人間同士の連帯感。人にとっての真の幸福とは、真実とは何かを考えさせられる。読む時期により心に留まる箇所もさまざまだろう。折に触れて読みたい本。2019/04/22
はたっぴ
86
先日の『闇の奥』の著書コンラッドは船員生活から得られた体験をもとに人間社会の闇を描いたが、サン=テグジュペリは飛行家として発表したエッセイやルポをこの作品にまとめている。自身の職業を小説に出来るのは素晴らしいこと。実体験をもとにした作品を手にした読者(私)は本当に幸せだ。パイロットとして高い空から大地を見渡すように、人間そのものを俯瞰して捉えた文章は、人々を抱擁するような優しさと強さに溢れ、どれほど時間が経っても色褪せない。北杜夫さんや須賀敦子さんのエッセイで絶賛されていたこの一冊。大いに共感して ⇒2016/07/16
ナマアタタカイカタタタキキ
80
私にとって、サン=テグジュペリほど、どの作品も読み終えた後「この本に出会えてよかった」と思える作家は、なかなかいないような気がする。壮大な自然の営みと、孤高のパイロット達。自己犠牲と人々の愛。これまで飛行機とはあまり縁がない私がこんなにも心を動かされるのは、彼が空と大地を語ることで、生命や人間の本質を我々に見せてくれるところにあると思った。砂漠でのあれこれは人生の縮図と言っても過言ではない。それでいて、すべての言葉が美しい…まさに空飛ぶ詩人といったところ。恥ずかしい程べた褒めだけれど、傑作には間違いない。2020/06/06
molysk
67
大地は人間に多くを教えてきた。様々な道具で大地に抗うことで、人は自身を知る。そして、パイロットは飛行機を道具として、自然の神秘を暴いていく。航空の黎明期に大空に挑んだ人々は、不毛な自然が大地の多くを覆うがゆえに、わずかな土地で人間の生活が営まれることの奇跡に心を動かされた。空に天からの使命を見出した人々は、共通の目的によって同胞と結ばれるとき、極限状態の中でもこの上ない充足感に満たされていた。読み終えて感じたのは、わずかながらも人間の未来に前向きな気持ち。勇気を奮い立たせる言葉が、本書にあふれている。2020/10/25




