内容説明
食うために突飛なアイディアをひねり出しては珍バイトを始めるが、必ず一騒動起すカトリック学生寮の“不良”学生3人組。いつもその尻ぬぐいをさせられ、苦りきる指導神父モッキンポット師──ドジで間抜けな人間に愛着する著者が、お人好し神父と悪ヂエ学生の行状を軽快に描く笑いとユーモア溢れる快作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ken_sakura
38
面白い(^。^)「青葉繁れる」のような私小説風な物語。主人公は仙台カトリック孤児院から上京したS大学(上智大学)文学部の小松。身元引受人のS大学文学部教授モッキンポット神父。聖パウロ学生寮で出会う東大医学部の土田、教育大理学部の日野。三人の圧倒的な逞しさが眩しい♪( ´▽`)あのフランス座のバイトが面白い。空腹な三人の騒動を冴えない師父が関西弁で悪態を吐きながら後始末する。解説より著者はカトリック、天主の存在を信ずるモッキンポット師のような師父たちを信じた、とのこと。阿佐田哲也の「麻雀放浪記」を思い出した2018/04/22
ベル@bell-zou
25
小説で声を出して笑ったのは久しぶり。人というのは物理的に満たされていないとより知恵が回るのだなと妙に納得。草野球の頭数合わせをプロデュース。アメリカからの救済衣料を着服(シティボーイズのコントにそんなのがあった)。アヴェ・マリアが流れるパチンコ台の開発。調子にのってやり過ぎてモッキンポット師に見放されては救われる、懲りない甘ったれの3人。自業自得で没落し続ける彼らを、戦後の活気に溢れた時代が後を押し、モッキンポット師の怒声と呪詛が飄々とした関西弁で聞こえてくる。…喜劇でも観ているように愉快な読書だった。2018/01/19
seraphim
25
下卑た関西弁を話す、風采の上がらないフランス人の神父、モッキントッポ師。彼が指導しているS大の学生、小松の目線で描かれている連作短編集。毎回、小松とその友人達の3人が巻き起こす事件がおかしい。その都度、モッキントッポ師が後始末をしている。師はケチだと描写されているが、後始末に支払っているポケットマネーの額を考えると、とてもケチなんて言えない。どこまでも小松らを見捨てない、モッキントッポ師に感心してしまった。小松らのバカさ加減にも、バイタリティの豊かさを感じた。思わず吹いてしまう面白さ。楽しかった。2017/01/04
さんつきくん
24
小松、土田、日野の貧乏学生トリオはモンキンポット神父を常に悩ませる。学生寮費を滞納する貧乏トリオにアルバイト先を斡旋する神父。彼らは食い意地をはったり、疲れないためにテキトーな仕事をして悪知恵を働かせやらかす。神父が斡旋するバイト先でなんどもなんども。これはこれは頭が痛くなるだろう。読む側にとっては痛快で面白いのだが。やがて彼らの悪知恵のおかげで学生寮が取り壊されるハメに。それでもこりない3人。井上ひさし作品特有の本編から脱線、下ネタも健在。笑えるドタバタ青春劇!2012/05/20
剛腕伝説
20
聖パウロ学生寮に住む3人の若者に、振り回され続ける聖職者モッキンポット師。おかしな関西弁を操るフランス人宣教師。 ハチャメチャな若者を最後まで見捨てることなく、ブツブツ言いながら寄り添う。 挙句の果てに、ドサ回りの一座の舞台に立たされる羽目になり、学校を追い出されるという淋しいラスト。でもそこはモッキンポット師、タダでは転ばない。 可笑しくも愛溢れる1冊でした。2021/07/02