- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
和歌山出身の幕末~明治維新期の実業家・社会事業家・政治家、濱口梧陵(はまぐち・ごりょう)の残した数々の功績と事業理念・政治理念を、当時の動乱の社会背景とからめて描きだす、書き下ろしの史実ノンフィクション。東日本大震災で未曾有の巨大災害を受けたすべての日本人(殊に為政者や経営者)が範とすべき梧陵の確固たる態度と姿から、今こそ求められるリーダー像・カリスマ像、そして復興への道や施策も浮き彫りになる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tadashi Totsuka
1
ヤマサ醤油七代目濱口儀兵衛であった濱口梧陵は安政南海大地震のさい故郷和歌山県広村を襲った大津波を松明に火をつけて、村人を救いました。直後大堤防築堤を決心し、私財を投じて復興に力をいれました。 江戸では医学の発展の為資金援助。紀州では教育制度と藩政の改革に着手。明治にあっては県会議員、議長を勤め、中央では郵便制度の基礎をつくる。前島密は濱口梧陵が指名した梧陵の 後任者です。2013/06/28
たかむら
1
明治維新前後のあまり有名ではないが、偉人の話。私財を投じて堤防を築いたり、学校を作ったり・・・と言うと普通は武士(しかも大体が藩主とか偉い人)がやるようなことを商人でありながら実行した人。このバイタリティと将来を見据えた行動力は計り知れないものがある。 ただ、関連する人たちの逸話がところどころ紹介されていたために、どうしても時間軸が前後することが多く、読んでいてとまどう。また、ところどころ引用が入るのだが中途半端に量が多くて読みづらい。著者の政治家についての小説が読みやすいのと比較して、ちょっと残念。2013/06/13
Splash
0
11月5日が国連で世界津波の日に定められた。紀伊国広村出身の浜口梧陵が、収穫前の稲むらに火をつけて、津波から避難する人々に高台の位置を示した故事にちなむ。浜口は、ヤマサ醤油の経営、県の役人・議員、郵便制度の創設にも関わったようだ。まだまだ知られていない人物がいるものだ。2016/01/01
山男777
0
東北大震災に絡めてタイムリーな小説。一私人が醤油で財を成したとはいえ私財投じて社会に貢献した。昨今ではいかにして税金をごまかしたり流用したり己の栄達私腹を肥やすげひた輩ばっかり。大きな勝ちを掴んだ人達がよめばましになるだろう。幕末に目立った人々の新たな人物像の発見もありおもしろかった。2013/08/23
ハット
0
濱口梧陵のことは「稲村の火」の話以上のことを知らなかったのだが、この本を読んでおおいに勉強になったし、この人物に対する見方が変わった。 この人は和歌山だけにとどまらず、日本全体にとって重要な幕末の偉人の一人だと思う。勝海舟や福沢諭吉などの大人物と交流を持っていたことなど、自分は全く知らなかった。 あわせて、先見の明で藩政改革を実践したおなじく紀州藩出身の津田出のことも書かれているのでとても勉強になった。 本の書き方としてはやや情報過多で読むのがしんどいかも。著者の書きたいことが詰まっているという印象。2023/09/25