内容説明
昭和二十年九月、敗戦後間もない日本を未曾有の暴風雨が襲った。その名も枕崎台風。「もたらした被害また広島県の死傷行方不明三○六六名をはじめとし……」なぜ広島で……。人類最初の原爆による惨禍から、わずか一カ月。廃墟の街で、人々はどのような災害に巻き込まれたのか。気象台は何をしていたのか。綿密な取材によって明かされる、天気図の空白に秘められた知られざる真実。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
10
原爆と台風。2018/11/10
aponchan
7
2018.11日経新聞のリーダーの本棚に気象庁長官が挙げていたことを機に読了。内容の迫力に圧倒されるとともに、記録の大切さや一つ一つの現場での使命感に心を打たれた。広島における原爆被害の実情や天候を含めた情報・知識不足による二次被害の発生は心が痛い。また、近年発生した広島での土砂災害による多くの命が奪われたことに関しては、防ぐことがなぜできなかったのかを考えさせられる。良書。2019/07/04
daimonn
6
原爆、終戦、その後起こった枕崎台風での災害を広島気象台で働く人達を通して描かれたノンフィクション作品。終戦からわずか一ヶ月という時期に起きた大型台風が、九州よりも広島でとても大きな被害を出していたという事実に驚かされた。また、その災害と戦争との因果関係を知ると、これがただの天災ではない事がよくわかり、気象情報の重要さも改めて痛感させられた。そして、自らが被曝しながらも職務に忠実に、日々の気象観測を続けていた広島気象台の人達の勤勉さと不屈の観測精神にはひたすら感服。2013/01/15
とみやん📖
5
一読して、生半端な作品でないことがわかった。昭和20年の広島にとって、8月6日と9月17日の意味するところは絶対的だ。しかし、前者は世界的にもよく知られているが、後者は本書を通し、恥ずかしながら初めて知った。広島において、気象台職員が原爆や枕崎台風といかに対峙したのか、壮絶な記録に圧倒された。敗戦による脱力からの惰性ではなく、観測精神が気象台職員を突き動かしていたとの洞察に共感を覚える。歴史に埋没される、ごくごく普通の職業人の仕事ぶりや生き方に光を当てた、感動的な作品。2014/02/28
ままごん
3
ひたすら圧倒されました。いろんな戦争ものが出されていますが、陸海の軍隊ものではなく、ふつうの人の生活ものでもなく、広島管区気象台でひたすら観測に打ち込み、dataを発信し続けようとした科学者達のノンフィクションです。原爆と枕崎台風という2つの事象を、多くの困難を乗り越えて、観測・記録・検証していたとは知りませんでした。そして、京都大学研究班の災難も知りませんでした。枕崎台風は多くの貴重な命や原爆の資料をも奪っていったのですね。こういう本は、特に若い研究者達にはぜひ読んでもらいたい1冊です。2018/05/02
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