内容説明
中学生の「僕」は、成績不良のため、先生が住職をしているお寺に「入院」させられる。環境の変化に期待と緊張をつのらせる「僕」を、待っていたのは相変らず退屈な日常だった。倦怠の中で無気力な日々を送る「僕」。だが、その体に不思議な変化が訪れようとしていた――。性にめざめてゆく思春期の少年の、不安やとまどい、焦りや憧れを、独特のユーモアで描破した書下ろし長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
文也
3
少年の性の目覚めを描いた作品。基本的に斜に構えたような主人公が、体の奥から否が応にも湧き上がってくる情動に戸惑いつつも、それすらどこか醒めた目で観ようとしてるようで面白い。吉行淳之介や石原慎太郎と括られて語られる作家なだけあって、性の描写は生々しく、そこは正直ちょっと苦手なんだけど、読んでてクスッとなる文章力とユーモアのおかげか、あまり気にはならなかった。2019/10/11
藤村
3
<西山麓というのは、母の里方の遠縁にあたる人で、田舎では少しは財産のある家にうまれたが、父親にはやく死に別れたあと、兄弟もなく、母親とふたりだけで暮らしていた。(中略)お母さんが死んでからは(中略)何もせずになまけていたが、とうとう住むところもなくなり、鏡川という川の河原で乞食のような人たちのなかに入って、葬式のちょうちん持ちなどをやっているうち、身よりもない人のように、誰にも知られず死んでしまったというのである。>p712011/01/06
ライム
1
学業の出来ない劣等生は先生の家に強制的に居候させられるという校則?のあった時代のお話。先生の実家の古めかしく陰気な寺で、寝食・お祈り・お留守番をするはめになった少年の日常を楽しく読んだ。当然というか勉強に励むシーンは全然無く、寺に出入りする坊さんや女中達へのニヒルな人間観察や悪戯ばかり。「勉強なんていくら掃いてもゴミが減らない庭掃除と同じ」と愚痴るが、汚ったないトイレの中で臭気が人間の型にくり貫かれたとアルキメデスの原理を思い出すところは笑えました。2025/03/16
大泉宗一郎
1
少年が“性”に目覚めてゆく過程を描いた小説は割合多いと思いますが、湿っぽいなかに、からっとしたユーモアを含んだ内容はあまりないような気がします。長ったらしく、だらだらといい加減に続く心情描写もくすぐったい文章のおかげで、苦には思いませんでした。私見に感情を挟まないような(挟むような感情の起伏がないのか)、理性的で冷めた中学生なのか、それともただのエロガキなのか、もやもやとした仕切りを往ったり来たりする主人公の人格構造もどこか魅力的です。生々しい描写があるので、軽々しくページを開かないことをお勧めします。 2013/07/12
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