内容説明
敗戦で満洲から引揚げた伊達邦彦少年は、大戦の惨害に人間性の根底まで蹂躙され、大学生の頃には計算しつくされた完全犯罪を夢見るようになる。大学入学金の強奪に成功した彼は、戦時中父の会社を乗っ取った京急コンツェルンに対し執拗な復讐を開始する。怜悧な頭脳、端正な容貌と猛獣のような体躯を持つ非情の男伊達邦彦を描くハードボイルド小説の傑作。大藪春彦のデビュー作となる正編に加え、「週刊新潮」に連載された続編となる復讐編を収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takeshi3017
4
非情の男・伊達邦彦の完全犯罪。ここまで徹底的な悪だとある意味爽快。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/naiyou25501.html2018/04/13
ぜっとん
4
「野獣死すべし」、「野獣死すべし復讐篇」所収。伊達邦彦はどう描写されたって松田優作で再生されてしまうのである。口数は少なく、冷徹で強健。まさにタフでクールな男だ。反骨精神にあふれ、復讐篇のラストなどは『明日に向かって撃て』ではないか。「野獣は死なず」のタイトルも洒落ている。野獣死すべしのほうがタイトに引き締まった作品だが、復讐篇も読みごたえがあって楽しい。ハードボイルド文体はいいなあ。2015/12/18
鮎川まどか@AnxAn
4
クライムアクションの傑作。冷酷非道の主人公を映画的タッチで描いていく。書き下ろしの復讐編は個人対企業コンツェルンという壮大な物。主人公のクレバーかつワイルドな部分に痺れた。名作。2010/07/28
けいちゃっぷ
1
子供にゃ、ノレなかったな。