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内容説明
2015年11月に起きた「イスラーム国(IS)」によるパリ大虐殺テロの直後、ローマ法王フランシスコは「これはまとまりを欠く第三次世界大戦の一部」だと表現した。その後も、同月のトルコ軍によるロシア軍機撃墜。2016年1月のイランとサウディアラビアの断交、「IS」による世界各地でのテロなど、危機が続いている。実際にいま、何が起きているのか。そして、これから何が起きるのか――。あまりにも錯綜した状況を、歴史や地政学をひもときながら読み解き、今後訪れる「日本人の想像を絶する危機」を洞察する。激動する世界を知るための必読の書。序章 イランとサウディアラビアとの対決――宗派戦争の恐怖/第1章 ポストモダン型戦争と中東複合危機――国家・内戦・難民/第2章 パリの大虐殺と「新しい東方問題」――戦争と市場の間/第3章 地政学とムハンマドのリアリティ――大文字と小文字のイスラーム/第4章 スンナ派とシーア派――分裂から抗争へ/第5章 慈悲深き宗教者、前向きの政治家――政事と軍事のバランス感覚/第6章 「イスラーム国」とは何か――シリア戦争と難民問題の深淵/第7章 新露土戦争の危険――二つの帝国/第8章 中東核拡散の誘惑――イランとトルコの競合/終章 第三次世界大戦への道――短期決戦か長期持久か/あとがきにかえて――中国と「イスラーム国」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
九曜紋
10
現在の中東情勢を読み解く鍵は「第二次冷戦」とポストモダン型戦争。前者は米欧とロシア(とイラン)の対立の構図、後者はIS等の従来にないかたちの戦争。両者が複雑に絡み合い、ローマ法王はこれを「まとまりを欠く第三次世界大戦の一部」と表現した。いまや冷戦ではなく、既に熱戦になりつつある。宗派が異なるとはいえ、何故同じイスラム教を信奉する国同士が争うのか、また同じ「経典の民」であるイスラム教徒とキリスト教徒が争うのか。無宗教と言われる日本人にはなかなか理解しにくいが、この地域の歴史を紐解き、理解の一助となる1冊。2016/02/24
Happy Like a Honeybee
7
天網恢々疎にして漏らさず。トルコ、ロシア、イランの三竦みが導く危険。巨大市場としてのイランは核開発疑惑があり、アジアの将来はイランがどの国と同盟を結ぶかによる。クルド人とISはどちらがマシな悪か。新聞報道では中東情勢の背景に乏しいので、この類の本は重宝する。次作にも期待2016/05/15
ケイ
7
難しかったです……。イスラム国に焦点を当てた本かと思いきや、トルコやイラン、サウジアラビアをメインにした中東事情の本だったんですね。読み終えたはいいものの、どこまで理解できたのか自信はありません……が、ロシアのしたたかさと大胆さは、よく分かりました。2016/03/16
ゆうきなかもと
6
新書ながら、膨大な情報量に圧倒される。読むのにすごく時間がかかった…。イラン。恐るべし。2017/08/14
うえ
5
「そもそもロシアは14年2月以来のウクライナ危機との関連において…トルコの領空を幾度となく侵犯していた○15年3月にはロシアの戦闘爆撃機が…NATO軍艦群に予告なくロックオンをかけている○15年11月…プーチンはテヘランを訪問し…イランへのS300対空ミサイルの売却契約を結んでいる」「UAEやカタルでは、人口の80%以上がすでに外国人になっている。クウェートでは50%、サウジアラビアでは40%…難民を多数受け入れている人道的イメージが高いヨーロッパでも、ここまで高い外国人比率は、さすがにお目にかかれない」2016/11/14