PHP新書<br> 自由のジレンマを解く - グローバル時代に守るべき価値とは何か

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PHP新書
自由のジレンマを解く - グローバル時代に守るべき価値とは何か

  • 著者名:松尾匡
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • PHP研究所(2016/03発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569829678

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内容説明

人間関係が固定的で、個人の責任とは集団の中で与えられた役割を果たすこととみなされる「武士道型」の社会から、グローバル化によって人間関係が流動的な「商人道」型の社会に移行している現代においては、個人の責任は自らの自由な選択に対して課されるようになる。このような時代にフィットすると思われる思想はリバタリアンの自由至上主義であるが、リバタリアンは福祉政策にも景気対策にも公金を使わないことを主張することが多い。これらの政策はいかにして正当化されるのか。また、様々な文化的背景を持つ個々人の「自由」の対立は解決できるのか。かつてマルクスは、文化の相違をもたらす、人間のさまざまな「考え方」による抑圧を批判し、単純労働者による団結・調整により自由は現出すると考えたが、労働の異質化が進んだ現代ではその展望は実現しない。しかし、アマルティア・センの提案が大きなヒントになる――。俊英の理論経済学者が、現代の新たな自由論を構築する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう。

22
自由とは何か。責任とは何か。経済学的に述べられている。特にマルクスの疎外論やアマルティア・センのケイパビリティ(センについてはそれほど詳しくはなかったが)から、自由を論じている。個人的には、人権・尊厳・権利の視点も重視しながら論じてほしかった。著者の論立ては危うさもあると思う。2020/09/17

おおにし

17
人間関係には「固定的人間関係」と「流動的人間関係」がありそれぞれに責任の取り方が異なる。企業においては「メンバーシップ型責任」と「ジョブ型責任」があり、今まで前者であった日本企業はグローバル化の中で後者への転換が必要となっている。というように対立項目を示しながら、自由と責任について丁寧な議論が進むのですが、中身が濃くて、さっと読んだら議論の展開を見失ってしまいました。じっくりと再読してみたいと思います。2016/09/17

うえ

9
大塚久雄の「勧善懲悪劇が戦後日本でウケた理由には、やはり戦争体験があったと思います…悲惨な結末をもたらしてしまった。この反省の中で…個人が資本主義を生み出した欧米こそが近代化のあるべき道だ、お上が主導して近代化した日本では個人の自立が足りなかったという大塚の含意は、痛烈に人々の心に響いたのだと思います。ところが70年代くらいから、この大塚の歴史観に対する批判がわきおこってきます。この背景には、フランスのブローデルらアナール派の歴史観の広まりや、ウォーラーステインの世界システム論の考え方の流行があります」2019/11/06

ケイ

7
難しかったです……。どこまでも分かりやすく説明しようとしてくれてるのは分かったのですが、内容をどこまで理解出来てることやら。とりあえず、「こんな時代だからこそ人々が連帯して支えあっていくことが必要」という考え方。そして、「異なる思想も折衷して取り入れることで何とか理想的な状況が現出する」ということは理解できました。とりあえず、読む時は腰を据えて読むことをオススメします……。2016/03/09

代理

5
根拠の無い悪い「考え方」に縛られる生身の個人を開放するにはどうすれば良いのか。「皆、残業するだろう」という考え方に縛られた結果、本当に「皆、残業する」世界。『獲得の普遍化』は素晴らしい考えだと思う。私も流動的な人間関係のほうが好きだが、本書の内容の全てには同意できない。しかし示唆に富む内容で楽しかった。2019/11/24

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