内容説明
「せめて『資本論』を読んでから死にたい!」。憧れの気持ちは強くとも、歴史的大著の前では常に挫折の繰り返し。人生数度目の挑戦でも、長い序文が、他の原稿が、演劇の公演が、日常の雑事が、またも行く手を阻む。果たして今回は読み終わるのか――。「わからない。わからない」とつぶやきながら『資本論』と格闘する日々を綴る異色の七転八倒エッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
43
昔『資本論』に挑戦したことがある。教養の一環としてとの考えだったが当時は共産主義が潰れていたので、面倒臭くなって序文も読みきらずに放り出したものである。本書は劇作家がそんな『資本論』読破に挑戦した一冊。読む前はもっと読書の苦痛というかコミカルな内容を想像していたのだが、実際は滅茶苦茶真面目に取り組んでいる。前半は『資本論』のエッセンスが中心だが、後半になると読書論やマルクスに関するエッセイみたいなのが中心となっている。こういう形にされると『資本論』に改めて興味が湧いてくるな。もう読もうとは思わないけど。2015/03/21
メタボン
34
☆☆☆☆★ 資本論などわからなくてもよい。ただそれに悪戦苦闘しつつも読み込もうとするその行為が尊いのだ。宮沢章夫が、また一つ別の読むことの地平を顕わにした。それだけでもこの書の価値はある。相変わらず彼の文体に何度も吹き出してしまった。資本論も読むを読む。それでいいではないか。と強がってしまうのもマルクスが憑依したか?そんなことはないだろう。資本論を読めない言い訳が一番面白かった。雑誌の連載をリアルタイムに毎回読んでいれば、この面白さを更に感じられたのであろうな。2017/10/14
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
26
長くて難解なマルクスの『資本論』を宮沢章夫さんが悪戦苦闘しながら読んでいる様子を読む。ある意味ノンフィクション?引用されている一部だけでも、何が何やらで私には無理だと思った。本に影響されやすい性格だけど、これは挑戦しようとは思いません(笑)2016/11/07
九鳥
21
「『資本論』を読む」を読む。この感想を読んでいる人は「「『資本論』を読む」を読む」を読むことになる。劇作家でエッセイストの宮沢章夫氏が書いているのだから当然経済学の本でも『資本論』の入門書でもなく、これはただ難解な『資本論』というテキストと格闘する人の思考のドキュメントなのだ。引用されている文章は本当に訳が分からなくて、読んでいてループにはまり込む。分からないのに、刺激的でスリリング。2009/09/08
nbhd
20
マジ、リスペクト!これは名著だ。誰だって一度は抱く野望としての資本論、著者はがっぷり四つに組んでこの大著に挑む。これは「読み」の格闘を著したドキュメントであり、プロレス観戦かなんかに近い、ザ・ストロングスタイル。本書における著者の試みは「商品」やら「剰余価値」やらを理解することには毛頭なく、資本論からマルクスの息遣いを感じとることにひたすら集中する。その良い例が「リンネル」。資本論に頻出する、この単語についてマルクスは「リンネルはこの世界の市民である」なんて言いのけている。そこらへんがムムムッポイントだ。2014/10/19
-
- 電子書籍
- 破滅の道を選んだ悪役令嬢ですが、隠しキ…
-
- 電子書籍
- 期待より、希望を持とう。
-
- 電子書籍
- 勝敗その一瞬2015
-
- 電子書籍
- アーシャのアトリエ ~黄昏の大地の錬金…
-
- 電子書籍
- 沈黙の オヤヂ食堂 ダ・ヴィンチブックス