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内容説明
いまや、ソニーのスピリッツは息絶えようとしているのではないか? 悲観的な著者に創業メンバーの薫陶をうけたOBがこう言った。
「ソニースピリットを持って取り組む人、それが一人でも二人でも集団であっても、またOB、現役、肩書きや組織のサイズにも関係なく、彼らが集まるそのとき、その場所がソニーなんだ」
電子乗車券や電子マネーに使われる「Felica」の開発者、ブラウン管式平面テレビ「WEGA(ベガ)」を大ヒットさせたデジタル高画質技術の開発者、ロボット「AIBO」の元事業責任者、プロ向け製品事業の元トップ、最先端の家電販売店の経営者に転じた元営業マンなど、ソニーを去った今も、ソニースピリッツを持ち付ける人々の挑戦を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatayan
31
企業ルポを得意とする立石泰則氏のスピンオフ作品。ものづくりを探求するためにソニーを飛び出し起業した元社員を複数紹介。 興味を引くのは非接触ICカードの開発者の章。JRの自動改札への導入を80年代から企むも一旦挫折。社内でも紆余曲折を経て10年後の機器更新で捲土重来を果たします。キャッシュレス決済のカードの規格であるFelicaは元ソニー社員の日下部進氏が基礎を築いたものでした。 「技術の高さは、年輪と同じで何回自分を否定したか」という言葉を映像技術のプロである近藤哲二郎氏から引き出しているのも良いです。2019/11/29
Tadashi_N
24
SONYロゴに輝きがあった頃は過去のことらしく、新事業の担い手がどんどんいなくなる。2021/07/02
いのふみ
5
ソニーは腕利きの職人集団なのに、技術を軽視したために、職人たちの流出を食い止めることができなかった。職人たちはベンチャー等へ分散していくが、その生き方こそがソニースピリットなのである。ソニーを去った者らがソニーのスピリットを持っていた、という逆説。魂はこの社会のどこかに生きている。2016/06/20
ラムネ
5
異端とは本流ではないことでもある。ソニーはかつて、オーディオ・ビジュアルに特化し、家電業界に斬新な風穴を開けた。けれど大きくなりすぎたソニーは、異端であることが難しくなったのかもしれない。腐敗した権力に立ち向かう颯爽とした青年が、革命成し遂げて権力を握った途端、自らも堕落していくように。 異端とは小さく弱く、同時に鋭い状態でしか成立しないのかもしれない。ソニーを飛び出してベンチャーに身を投じた者たちが、ソニーらしくあるのは、ある意味で当然のことなのかもしれない。それは寂しく、一方で頼もしいことだ。2016/04/11
130
1
古き良きソニーが書かれた本。安定を求めてソニーに入った人の割合が多くなった今のソニーはイノベーションを起こせるのだろうか?利益の殆どは金融部門が稼ぐソニーは何なんだろう。2019/10/01