内容説明
その誇りに、囚われるな――。鉄砲百人組の老武士、山岡晋平。伊賀衆ながら伊賀を知らず、門番の御役目とサツキ栽培で活計(たつき)を立てていた。だがある日、伊賀同心の友が殺される。大金を得たばかりという友の死の謎を探る中、晋平は裏の隠密御用、伊賀衆再興の企て、そして大火の気配を嗅ぎ取った。老いてこそ怯まず、一刀流の俊傑が江戸に澱む闇を斬る。『流水浮木―最後の太刀―』改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
114
また一人素晴らしい時代小説の書き手にめぐり会えてうれしい。伊賀忍者の末裔が武士としての誇りをかけて、友人たちの死の真相を探っていく物語。剣の達人でありながら、市井に生きてサツキ栽培で生計を立てる主人公の山岡晋平の人物造形が良い。武士の体面にこだわらず、自分が接する人々と腹を割って付き合う姿勢に惹かれた。情景描写が非常に巧みで、江戸の町の息遣いが伝わってくるので、私のような江戸好きにはたまらない内容だった。友人たちの死の真相が分かり、彼らの意外な一面を知って晋平が「頑張った」と呟く場面は泣けた。2016/05/07
KAZOO
108
この著者の作品は「本を売る日々」を読んだだけですが、お気に入りさんの感想を見て読みました。伊賀の隠密が先祖であった人々が同じ地域で幼児から成長してきたのですが、その仲間が殺されたりします。比較的主人公の関係ある人々が登場して事件の背後には大きな陰謀があるようです。そういったことよりも毎日の生活とさつきやおもとを育てたりする情景が印象に残りました。解説を葉室麟さんが書かれています。2026/01/11
ふじさん
83
伊賀同心の山岡晋平は、伊賀衆ながら伊賀を知らず、サッキの苗の栽培で生計を補っている。同じ伊賀同心の友が殺される。友の死の謎を探る中で、晋平は裏の隠密御用、伊賀衆再興の企てを知り、真相を探るべく動き出す。次々に友を謎の死で失い、義理の息子と真実を求めて奔走する中で、思いも寄らない事実を知り、それを阻止すべく一刀流の腕前を発揮することになる。山岡晋平の生き様が、読みどころだが、最後まで続く、謎に迫る楽しさもあり、いつもの青山文平の作品とは異なる趣のある作品で面白かった。葉室麟のあとがきも、良かった。2025/12/05
goro@the_booby
52
伊賀の出であることに囚われながらも逝った友のために一人蚊帳の外に置かれたような主人公晋平。振り返る時の流れが長くなるにつれて己は何であったのかと思わずにはいられない。武士であることに拘らない生き方も人の道であると思える晋平の太刀が鮮やか。江戸時代にサツキがブームであり世界初の専門書まであったとは物語が終わった後に調べた事であります。普段何気なく見ているサツキがまた違った花に見えるようでありました。2016/09/04
やま
44
徳川吉宗が、紀州徳川家から徳川宗家に入って八代将軍になった。隠密御用には、紀州から連れてきた御庭番を使った。そのため伊賀者などの仕事は江戸城の門番のみとなった。 大久保百人町に住まいして中也派一刀流の遣い手である山岡晋平は、鉄砲百人組三十俵二人扶持の大久保二十五騎組の伊賀同心である。食うに困って晋平の祖父の頃からサツキの苗木の栽培で収入を補ってきた。 晋平が住まいする大久保百人町では、鉄砲百人組の同心株を売って百人町を出て行く者が続出した。そんな中で幼馴染みの伊賀同心が次々に殺されて行く。なぜなのか・・・2026/03/16




