新潮文庫<br> 伊賀の残光

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新潮文庫
伊賀の残光

  • 著者名:青山文平【著】
  • 価格 ¥605(本体¥550)
  • 新潮社(2016/03発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 150pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101200910

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内容説明

その誇りに、囚われるな――。鉄砲百人組の老武士、山岡晋平。伊賀衆ながら伊賀を知らず、門番の御役目とサツキ栽培で活計(たつき)を立てていた。だがある日、伊賀同心の友が殺される。大金を得たばかりという友の死の謎を探る中、晋平は裏の隠密御用、伊賀衆再興の企て、そして大火の気配を嗅ぎ取った。老いてこそ怯まず、一刀流の俊傑が江戸に澱む闇を斬る。『流水浮木―最後の太刀―』改題。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

114
また一人素晴らしい時代小説の書き手にめぐり会えてうれしい。伊賀忍者の末裔が武士としての誇りをかけて、友人たちの死の真相を探っていく物語。剣の達人でありながら、市井に生きてサツキ栽培で生計を立てる主人公の山岡晋平の人物造形が良い。武士の体面にこだわらず、自分が接する人々と腹を割って付き合う姿勢に惹かれた。情景描写が非常に巧みで、江戸の町の息遣いが伝わってくるので、私のような江戸好きにはたまらない内容だった。友人たちの死の真相が分かり、彼らの意外な一面を知って晋平が「頑張った」と呟く場面は泣けた。2016/05/07

ふじさん

82
伊賀同心の山岡晋平は、伊賀衆ながら伊賀を知らず、サッキの苗の栽培で生計を補っている。同じ伊賀同心の友が殺される。友の死の謎を探る中で、晋平は裏の隠密御用、伊賀衆再興の企てを知り、真相を探るべく動き出す。次々に友を謎の死で失い、義理の息子と真実を求めて奔走する中で、思いも寄らない事実を知り、それを阻止すべく一刀流の腕前を発揮することになる。山岡晋平の生き様が、読みどころだが、最後まで続く、謎に迫る楽しさもあり、いつもの青山文平の作品とは異なる趣のある作品で面白かった。葉室麟のあとがきも、良かった。2025/12/05

goro@the_booby

50
伊賀の出であることに囚われながらも逝った友のために一人蚊帳の外に置かれたような主人公晋平。振り返る時の流れが長くなるにつれて己は何であったのかと思わずにはいられない。武士であることに拘らない生き方も人の道であると思える晋平の太刀が鮮やか。江戸時代にサツキがブームであり世界初の専門書まであったとは物語が終わった後に調べた事であります。普段何気なく見ているサツキがまた違った花に見えるようでありました。2016/09/04

チャーリブ

39
再読。大久保百人町の組屋敷で暮らす伊賀同心たちは、本業の大手三之門の門番の他にサツキ(広義でツツジ)の苗木栽培を副業として生活しています。昭和初期まで大久保はツツジの名所で有名だったそうですね。伊賀者というと隠密ですが、御庭番という新しい役割が導入されて、彼らはそのルーツから疎外されて生きています。主人公の山岡晋平は剣の達人ですが、サツキ栽培に自足して悠々自適の老後を愉しんでいます。しかし、伊賀者の矜持を捨てきれない友人たちは人生の残光を求めます…。初期の作品のせいか、人物の造形が浅いのがちょっと残念。2023/09/23

reo

29
慶長8年江戸幕府が開闢したとき神君家康公の伊賀越えを助けた伊賀衆は、175年の時を経た今は、三十表二人扶持鉄砲組同心という身分。山岡晋平、川井佐吉、小林勘兵衛、横尾太一の4人は、玉川上水で産湯を使った幼馴染。ともにこの俸禄では食えぬため、サツキや万年青の栽培で糊口を凌いでいる。あるとき佐吉が大金7両もの金を盗られ殺される。太一が言うには、この金は同心株を売って手に入れた金なのだと。損料屋の半四郎や中森征士郎、晋平の娘婿の宮地平太が絡み、ミステリータッチで物語りは進行してゆく。氏の作品にしたら少し平易かも。2018/01/03

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