3.11 震災は日本を変えたのか

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3.11 震災は日本を変えたのか

  • ISBN:9784862761965

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内容説明

<p>だれもが「変化」を叫んだ。そして何が変わったのか――。

2011年3月11日、東日本大震災。20年にわたる社会的・経済的停滞のなかで起こった震災は、計り知れない悲しみと衝撃と同時に、日本が自らを見つめ直すきっかけをもたらした。改革論者は悲劇の内に希望を見出した。危機は再生の機会と言われた。政治家もメディアも経済界も「変化」を叫んだ。それは国民の関心とアイデンティティを牽引しようという野心に満ちた、事態の解釈をめぐる複数のナラティブ(物語)の闘いでもあった。――本書はこの大震災が日本に与えた影響について米国屈指の知日派が探求した著作である。現地調査とインタビュー、文献研究をもとに著者は、国家安全保障、エネルギー、地方自治という三つの切り口から震災後の政治の深層に迫る。あの時、何が語られ、何が変わったのか。何を教訓とし、これからどこに向かうのか――。圧倒的な情報量、明瞭な枠組み、歴史検証と国際比較を手がかりに、包括的視座で3.11のインパクトを解き明かす。</p>
<p>「震災は変化への扉を開いた。日本は先へ進むだろうか」――緒方貞子(元 国連難民高等弁務官)</p>
<p>「東日本大震災が人々の期待とは裏腹に劇的な変化をもたらさなかった理由を理解したい人にとって必読の書である」――ジェラルド・カーティス(元コロンビア大学教授、『代議士の誕生』著者)</p>
<p>「震災後の日本の安全保障、エネルギー政策、地方行政見直しの取り組みについて一流の分析を加え、変化をめぐる驚くべき要素と抵抗をあらわにした」――マイケル・アマコスト(元駐日米国大使、スタンフォード大学名誉特別研究員)</p>
<p>「災害から立ち直ろうとする日本の可能性を示しつつ、日本が抱える脆弱性を指摘し、何が必要なのか明らかにする。これは3.11後の日本のロードマップだ」――岡本行夫(外交評論家、元東日本大震災復興推進委員会委員)</p>

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

38
知日派学者による震災論。安全保障、エネルギー政策、地方自治の観点から日本社会の変化の経過を検証。「現状維持」が優先されたが、僅かながら変化の兆しもある、が結論。熊本地震も起きたいま、日本が地震列島である事に正面から向き合い、構造改革を断行する必要がある。2016/05/08

壱萬参仟縁

36
2013年初出。安保、エネルギー、地方自治を検証(12頁)。信頼できる情報が得られず、危機管理者の能力もあてにできず、国民はいらだった(42頁)。今も、熊本地震で川内、伊方、玄海の各原発を止めない権力者がおかしい。危機とは元来、過去と未来に関する競合する概念を生み出す(62頁)。3・11の3つの教訓:①自衛隊の能力、②自衛隊の合法性と公的支援、③日米同盟(165頁)。第4章結論で、著者は日本が外国の敵ではなく自然災害と対峙するために軍事力を再構築することもないという(196頁)。そうだろうか? 2016/06/08

funuu

20
カール・フォン・クラウゼヴィッツなら、3・11は他の手段をもってする政治の延長にすぎなかったというだろう。この一言に尽きるのが日本。原発事故への対応全般についてIEAから「模範的」との評価を得たにもかかわらず、菅政権の支持率は急速に低下した。日本人にはボロンクソだった菅政権の原発対応だがIEAは高評価!熊本震災も発生し対応に慣れてきた。が、暫く遭遇したくないですね。2016/07/10

ブラックジャケット

12
早や10年の東日本大震災。ジャパン・ウォッチャーの著者が見た日本社会の変容だ。ナラティブという言葉を好んで使う。物語という意味だが、日本社会の合意を蘊蓄を込めて表現したようだ。ベクトルは加速する変化、現状維持、逆行コースの三つに分ける。自衛隊、在日米軍の素早い対応は、全国民に好意的に受け止められ、今後の安全保障にも変化をもたらした。原子力ムラの解体は、複雑に絡み合った利害関係で、東電悪役で固まる。災害に直面した地方自治体は相互協力など柔軟な対応を示した。冷静な分析の中にも希望の光が見える。全網羅の労作。 2021/03/07

koji

10
大惨事の後に人々を導くナラティブ(物語)が向かう方向は、変化を加速する、現状維持、時代を遡る逆コースの3つ。この方向性をもとに、著者は、安全保障、エネルギー政策、地方自治体の3つの観点から、「東日本大震災は、日本を変えたのか」を詳細に分析します。著者は現時点では現状維持と結論づけます。深い読みで考えさせられました。唯じっと観察していると+の変化への胎動も感じます。しかし危機後の変化を担うリーダー(信長・秀吉・家康、維新の英傑)の登場ではなく、ⅡWar後の復興を担った日本人のような総合力の発揮に期待します。2017/01/21

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