原発棄民 - フクシマ5年後の真実

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原発棄民 - フクシマ5年後の真実

  • 著者名:日野行介
  • 価格 ¥1,540(本体¥1,400)
  • 毎日新聞出版(2016/03発売)
  • 蝉しぐれそそぐ!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~8/3)
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  • ISBN:9784620323619

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内容説明

未曾有の福島第一原発事故から5年。政府は、原発避難者を消滅させようとしている。
国と福島県は2017年3月末までに、原発避難者の住宅支援を打ち切ると表明。約11万人とも言われる福島県内外の避難者たちに、事故前に住んでいた自宅に戻るのか、あるいは新天地で生きるのかを選ぶよう迫っている。これは避難という状態にとどまることを認めず、実質的に避難者という属性自体を「消す」ことを意味している。
2015年春夏、政府は「復興加速化」そして「自立」を前面に、原発避難の終了を迫る政策を打ち出した。最も線量の高い「帰還困難区域」(年間50ミリシーベルト超)を除いて、2017年3月末までに避難指示を解除し、その1年後までに月10万円の精神的損害賠償を打ち切る方針を決めた。
そして福島県も同じ2017年3月末までに、自主避難者や解除後の区域からの避難者への住宅提供を打ち切る方針を示した。さらに自主避難者の支援を目的とした「子ども・被災者生活支援法」についても、支援を「撤廃・縮小」する方向性を打ち出した。原発事故は自然災害とは異なり、原因者(加害者)が存在する人的災害である。避難生活を支える住宅と収入を提供する責任があることに異論はあるまい。原発避難について考えるとき、もちろん当事者一人一人がどう考えているかは大事だ。だが政治、そして社会が一人一人の意思、選択を大事に取り扱っているか、避難者の意向をくみ取り、制度として反映しているかを見定めていく必要がある。それが伴わないのは「棄民政策」に他ならない。原発避難者の生活基盤である「住宅」について、政府がどう決めてきたのか、そして避難者たちの思いがいかに踏みにじられてきたのか。政治家や役人たちによる被災者切り捨てのあざとい実態を、気鋭の記者が徹底追及する。

目次

【目次】●序章 避難者漂流●第1章 原発避難者とは誰か●第2章 避難者を苦しめる不合理な住宅政策●第3章 みなし仮設住宅―無責任の連鎖●第4章 官僚たちの深い闇●第5章 打ち切り―届かぬ声●終章 終わりになるのか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hatayan

37
毎日新聞の記者である著者が福島原発の被災者支援の政策を調査報道。 著者が明らかにしたのは、避難指示区域外から避難する「自主避難者」を原発事故の被害者と認めたくないという国の本音。被曝線量の上限を引き上げてでも避難区域の解釈を変更し、賠償にかかる経常的な費用負担を下げようとする国の強引な姿勢が被災者と交わることは当然ありません。 「結局どこかで線を引かねばならない。もやもやしたところが残るのが原発事故のいやらしさ」苦渋する政治家の言葉を引き出しながらも、事故を引き起こした国と東電の無責任をあぶり出します。2019/12/27

八百

27
東京五輪招致の際安倍晋三が言ったこと「福島は完全に制御されている!」…そのときは「大嘘をつきやがって」と憤慨したがどうやらそれは嘘でなく彼らは本当に2020年までに避難民を完全なる数字の制御でゼロにすることで事故の収束宣言を出すつもりなのだと言うのが本書の内容、そしてそれこそが「棄民」なのだと。本当だとすれば今騒いでいる公文書改竄問題など軽く吹っ飛ぶ大問題であるのだが毎日新聞の現役記者のリポートでありよくある告発本と断じてしまうわけにはいかないだろう。学ばねばな…まだ何も終わっちゃいない 2018/03/14

百太

26
冒頭部分には、「ヒッ!」 怖かったです。 2018/03/19

まさ

10
1年ぶりの読み返し。数字上、文言上だけで「収束」を国は求めているのではないか、と感じてしまう。 7年が経ち、終えていくフクシマの特例措置のニュースを見ていると、本書からの指摘が重要な意味を持つことを思い知らされます。2018/03/14

チェアー

10
自主避難者の住宅政策を巡る問題は無知で、初めて知る話ばかり。自主避難者は贅沢という見方がある。これには①年間上限20ミリシーベルトという線量の高いところに住むべきでない②国が言う「安全」は信用できない③自分の生き方は自分で決める、という論理で対抗するしかない。そもそも、原発災害は既存の枠組みでは対応は無理。2つ住民票を発行したり、通常の災害より長い期間支援を続けるなど、新たな発想と枠組みで対応すべきだ。通常の枠組みの下では、官僚も政治家も「まっとうな」対応をして被害者を切り捨てていくことになる。2016/05/15

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