内容説明
気に入った手袋が見つからなくて、風邪をひくまでやせ我慢を通した22歳の冬以来、“いまだに何かを探している”……(「手袋をさがす」)。凛として自己主張を貫いてきた半生を率直に語り、人々のありふれた人生を優しい眼差しで掬いあげる 名エッセイの数々。突然の死の後も読者を魅了してやまない著者最後のエッセイ集。文字が大きく読みやすく、カバーの絵も美しくなった新装版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nico🐬波待ち中
100
1981年8月22日に飛行機事故で亡くなられて今年で没後40年の向田さん。事故のことは未だに印象深い。エッセイ中の海苔弁、麻布の卵等は食べたくなるものばかり。印象深かいのは『手袋をさがす』。向田さんの若い頃から培った信念がよく分かった。妥協しない潔さ。熟考に熟考を重ねて、でも結論はさっぱりと。向田さんの自分に嘘のない生き方に共感しきりだった。そして『時計なんか恐くない』。どんな毎日にも生きている限り無駄はない。焦りも後悔も貴重な栄養。向田さんのどこまでも前向きな考え方を改めて知り、泣きそうになった。合掌。2021/08/22
ニッポニア
44
貫禄、素晴らしい随筆よ。美しさ軽やかさ重厚さを併せ持つ文章を読みたいならまずこれ。以下メモ。一向に声の通らないお習字の先生に「空金」(空中金魚の略)とあだ名をつける。外国のホテルに日本語の本を置いてけぼりにするのは、捨て子をするようで情において忍びない。読書の魅力、読んでいる途中、或いは読み終わってから、ぼんやりする、砂地に水が浸み通るように体の中に何かが広がってゆく。おひるは何といっても神田の薮そばがいい、穴子南蛮にせいろを一枚追加して、お土産にねり味噌をおねだりしよう。2026/04/29
kawa
33
エッセイ集読了4作目のこちらはショートなエッセイや人物、食べ物エッセイが目立つ。その中で、「清貧」ということばが嫌い、「謙遜」ということばも好きになれないと言う自己分析エッセイ「手袋をさがす」「時計なんか恐くない」が印象的。自らを「往生際の悪い女」と称するこだわりが、彼女の作品に感じられる独特の雰囲気とキレの秘訣かも知れない。2026/03/04
Roko
27
「寺内貫太郎の母」で語られる女たちの生きざまが生き生きとしていて、年をとっても口の減らない老婆というのもなかなかじゃないと思えました。残念なのは、向田さんがそんな老婆になる前にお亡くなりになってしまったことです。そして、お金ばあさんの歳になった向田さんの随筆を読んでみたかったなぁと思うのです。「手袋をさがす」の中の”清貧は、やせがまん。謙遜は、おごりと偽善に見えてならないのです。”という言葉が重いなぁと思うのです。2021/05/05
あや
21
「手袋をさがす」が読みたくてのんびり探していたら、先日新装版が発売されてすぐさま購入。読むのが勿体なくて今日まで寝かせていたけれど…思った通り、とてもよかった。私の生まれる前には亡くなっていた女性が、その時代をあるがままに生きていこうと決断するのはどれだけ難しいことだっただろう。生き方について、しばらくぐるぐる考えてしまいそう。2016/04/07




