内容説明
介護施設に毎週、マッサージ治療の機能訓練に通う主人公の鍼灸師。五十山田さん(仮名)のひどい首凝りをほぐすうちに浮かび上がる、日中戦争の記憶とは――?
ホモサピエンスとは、人間の、人間らしさを脱ぎ捨てた姿。
「還ってしまっていいのですか? 人のかたちをした獣に」と呼びかける
幻の少女の声。
ユーモアと軽快さを武器に、異文化間の緊張をやわらげようとする試み。
整体で身体の記憶と歴史を探る、第154回芥川賞候補作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そうたそ
32
★☆☆☆☆ 松波さんといえば、果敢に実験的な作風にチャレンジされているので個人的には大好きな作家さんであるのだが、この作品に関して言えば、その意図が全くわからず、実験的な領域を出ず作品として昇華することができていないのではないかと思ってしまった。東洋医学をこういう風に作品に活かすのかという驚きはあるものの、だからどうなのかと思われても仕方がない。普段の松波さんの作品なら、そのユーモアさも相俟って一気に読んでしまえるのだが、この作品にはそれも見られず、居心地の悪い重々しさばかりが残ってしまった。2016/07/17
百太
20
ん゛~。陰陽でいうと、陰中の陰の作品かな(苦笑)。鍼灸に対しての対外的感覚の描写はかなり実感するのだけど・・・・一般的には???? なんだろうなー。面白かったんだけど・・・・。2019/01/08
とら
13
”実験的小説”というものはそれだけで惹かれるものがある。型にハマった作品を読むのも、それは面白いし、多数が面白いと感じるからこその”型”なのであって、当然とも言える。しかし実験的小説は大方、型にハマっていない。それが面白いのか面白くないのかは紙一重であり、これまた多数面白くないのだ。しかしもしかしたらその型が未来、スタンダードになってしまう可能性だってある。ヒットすれば。文学の最前線を読んでいるという快感が堪らないのだ。書いている著者もその一心なのだと思う。つまり、よくわからない!しかし気持ちが良い!2018/01/07
tokkun1002
12
2016年。タイトルに惹かれて読んでみた。理解出来なかった。コントのよう。2017/01/08
名前ちゃん
6
文藝の松浦理英子さんの書評をみてこの本を読むことにした ほんとに書評どおりの本 松波さんの文体の間とか、変なギャグを愛好しているけれども テーマがテーマなだけに重い読後感 遅効性の東洋医学と小説を著者は重ねているのか、小説内によく出てくる2016/04/29