内容説明
【あらすじ】
物心つく前の最後の記憶に残る、亡き母の唄っていた懐かしい手毬唄。
それについて思い出したのは、母とよく一緒に毬をついていた三人の娘のことである。
一人は既に亡くなり、一人は嫁いで会うことができず、もう一人は神隠しにあって行方が知れない。
唄への憧れが募り、その文句を求め、その娘を探して、諸国を旅して回っていた葉越は、ある夏、三浦半島秋谷を流れる小さな川で、五色の糸でかがられた美しい毬を拾う。
ちょうどそこに来合わせた爺に、その地で起こった不思議な話を聞いて、彼は黒門の別邸と呼ばれる曰くつきの屋敷の一間を借りることにした。
しばらく滞在して旅の疲れを休めたく、また、そこで自分の望みが叶うような気がしたからである。
街道の茶店で、爺に連れ添う婆から、やはり黒門での無残な出来事を聞き、浮かばれぬ人々の供養を頼まれた旅の僧が、その夜、明と二人、蚊帳の中に枕を並べていると、ぽたりーと何かがその枕元へ落ちてきた。
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